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BIGBAND道〜井出慎二のビッグバンド・アンサンブルへの招待

明治大学ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラを皮切りに、角田健一ビッグバンド、本田雅人B.B.station、Tokyo Brass Art Orchestra、宮嶋みぎわMiggy+ Jazz Orchなど幾多のビッグバンドに参加、活躍中の井出慎二が東京・渋谷にある音楽教室、トート音楽院にて新たにビッグバンドのアンサンブル・コースを開設し、講師を務めるという。ここでは井出のこれまでのビッグバンドでの活動を振り返ってもらうとともに、ビッグバンド・アンサンブル・コース開設にあたって、その内容や抱負を語ってもらった。


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井出慎二: 1975年東京都出身。明治大学在学中にヤマノ・ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストなどでソリスト賞受賞。バークリー音楽院に留学。“ザ・ショッキング”“Tokyo Brass Art Orchestra”“宮嶋みぎわMiggy+ Jazz Orch”のメンバーとして活躍中。宇崎竜童、宇崎&岩城滉一バンド“O.J,B”バンドマスター(2007~2012)などの様々なバンドに参加。2013年クインシー・ジョーンズ・ビッグバンドに参加。2015年岡部量平(per)とのユニット“大筒小筒”の2ndCD『三つの約束』をリリース。


17人で作り上げるグルーブがビッグバンド最高の魅力

井出さんとビッグバンドとの出会いは?
⃝中学生のときに原信夫(ts)とシャープス・アンド・フラッツのコンサート・チケットをいただいてたまたま観にいったことが始まりです。サックスは既に始めていて、当時はフュージョンやポップスを聴いていたのでコンボ形式のものがジャズだと思っていたのですが、“おお!こういうスタイルもあるのか!”と感銘を受けました。その後高校時代に自宅の改築に来ていた大工さんの友人が早稲田大学ハイ・ソサエティ・オーケストラのOBだったそうで、家に置いてあったサックスを見て“興味があったら一度「ヤマノ・ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト」を観に行ってみたら”と勧めてくれたんですよ。そうしたら普通の大学生がメチャメチャ上手いじゃないですか!もう一日中観ていました。
●それでビッグバンドに加入しようと思ったのですか?
⃝ヤマノ・ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト・ソリスト賞に名だたるプロ・プレイヤーが多いことを知り、もうこれはプロ・ミュージシャンの登竜門だと思って。僕は当時明治大学付属中野高校に通っていましたが明治大学ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラが優秀で、ヤマノで賞も取っているのを知って、明治大学に行ってこれをやろう! と決めました。明治ビッグ・サウンズのOBには大勢のプロがいて、その方々が練習を見にいらっしゃっていたので恵まれた環境でしたが、1年~3年生のときはビッグバンドよりジャズ研などでセッションをして夜は飲んでという学生生活でした。3年間セッションで鍛えたおかげでアドリブができましたので、オーディションを受けてビッグ・サウンズに戻ったんです。そこでリード・アルトを吹くことは重責だったのですが一生懸命研究しました。譜面の吹き方やビブラートの付け方一つとっても本当に緻密に研究して練習する厳しい世界で鍛えられましたね。
●そこで感じたビッグバンドの魅力は?
⃝17人で作り上げるグルーブが最高の魅力ですよね。波のようにうねったりする。コンボと違うところで痛感することは、コンボだと自分の起承転結で盛り上げることができますが、ビッグバンドだと曲全体が盛り上がったところで“ハイ!”ってソロを渡される場合もあるわけですよ。吹き始めるときはそのテンションになってなきゃいけなくて、そこが魅力だし難しいところですね。
●井出さんはヤマノ・ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストに出場はされたのですか?
⃝高校生のときに観たあの舞台に立ちたいという思いが大学4年生のときに叶いました。僕個人として優秀ソリスト賞をもらいました。そのとき会場に来ていた本田雅人(as)さんが僕らの打上げ会場までいらしてくれて、そのときに本田さんのビッグバンド“B.B.Sta
tion”に誘っていただいたんです。その後多田誠司(as)さんのエキストラとして角田健一(tb)ビッグバンドのピットインでのライブに出たのがプロとしてのデビューでした。譜面の初見ができなくて“何も吹かなくていいからね”と言われたり、そこでは強烈なプロの洗礼を受けることになりましたね。
●その後バークリー音楽大学に奨学生として留学されるわけですね。
⃝バークリー音楽大学では元カウント・ベイシー楽団のリン・ビビアーノ(tp)先生のアンサンブルの授業を受講しました。そこでベイシーの曲を演奏したときに先生から褒められましたね。“シンジ、なぜおまえはベイシーの吹き方を知っているのか? どこで覚えた?”と言われたのは嬉しかったですね。バークリーでは同期の渡辺晋君(Tokyo Brass Art Orchestra指揮者)と留学生だらけの多国籍なビッグバンド“フェイウェイブラス”を組んだり、渡辺君のジャズ・プロジェクトで初めてバリトン・サックスを吹いたのがきっかけで興味を持ちバリトンに取り組み帰国後に早速、角田さんのビッグバンドをはじめ、中尾ミエさん&伊東ゆかりさんや加山雄三さんのツアーで早川隆章(tb)さん率いるリトル・ビッグバンドにバリトンで参加させて頂きました。2年前にクインシー・ジョーンズが来日したとき、彼のバンド・メンバーとしてサックス・セクションを組んでくれと言われたときにも自分は真っ先にバリトンと決めました。クインシーにはバリトンのソロを気に入ってもらえたようです。

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▲明治大学ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ時代。前列中央のアルト・サックスが井出。前列左端のテナー・サックスは石川周之介

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▲Funk orchestra TPOではテナー・サックスで参加(写真の左から3人目が井出)

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▲宮嶋みぎわビッグバンドMiggy+ 井出はアルト・サックスで参加(写真左から2人目) 撮影:逢坂憲吾


ビッグバンド・アンサンブルのレッスンをスタート

●7月から渋谷のトート音楽院でビッグバンド・アンサンブルの講師を務められるそうですが、そこではどういうレッスンを予定されていますか?
⃝まずはみんなで合わせて楽しむことが大事です。ただ、いずれは人前で演奏を聴かせるわけですから“目の前のお客様が一緒に楽しめるステージングをしていこう”と、いうことを目標にやっていくような、“観客を楽しませるビッグバンドを目指すにはどうすればいいか”をベースにしながら進めていきたいと思います。
●どういう曲を演奏される予定ですか?
⃝古き良き名曲、カウント・ベイシーやグレン・ミラーの曲からやっていきたいですね。自分のこれまでのビッグバンド経験を活かして、曲を聴かせるためにはスイングはどうすればいいのか、8分音符はどう演奏するのかといった基礎の部分もお伝えできたらいいなと思います。
●トート音楽院のビッグバンド・コースは社会人が中心になると思いますが、社会人ならではのアドバイスはありますか?
⃝どうしても社会人の方は時間がないですので、趣味でという方も多いです。とはいえやはり目標は持たないといけないので、発表会やジャズ・フェスなどに目標を設定して取り組んでいたいですね。また社会人同士ですので、いろいろな異業種の方々が集まってジャズを介して交流の場になることも魅力だと思います。
●事前に譜面は配られるのですか?
⃝事前配布しますので予習はできます。
●アドリブができなくも大丈夫ですか?
⃝それは多分皆さんできないと思いますのでぜんぜん大丈夫です(笑)。ただ、ジャズのビッグバンドですのでアドリブにも興味を持っていただいて、やりながら勉強していきましょう。
●ジャズの初心者にとってビッグバンドをやる意義は?
⃝皆が前に出て演奏したがる目立ちたがり屋さんばかりではないですよね。そういう方にはビッグバンドのアンサンブルの方が魅力を感じられる方が多いと思います。
●最後にあらためてビッグバンド・コース開設に対する抱負をお聞かせください。
⃝集まっていただいた生徒さん同士がジャズ以外でもアンサンブルする場になっていけるように頑張ります。私もまだまだ修行の身ですから、先輩からアドバイスをもらったり、いまだに新しいことに気がついたり、仲間から刺激をもらったりしています。そんな今の私から、少しでも経験をもとにビッグバンドの魅力をお伝えできたらと思います。


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