サックス好きのための専門誌Saxworld

本誌連動企画

ハンディ・レコーダー TASCAM DR-44WLで サックスを手軽にいい音で録る方法

レコーディング・エンジニアが伝授!

自分のサックスの演奏をいい音で録音したい!でも、いい音で録音するのは高価なマイクやレコーダー、パソコンなどを用意する必要があったり、面倒なのでは?
そう思っているあなたに、今回はハンディ・レコーダーを使ってサックスに対してどのポジションに“DR-44WL”をセッティングすれば自分の求めるサックス・サウンドを録音するこができるかを紹介します。

この企画ではプロ用のレコーディング機器のブランドとして知られるタスカムのポータブル・レコーダーDR-44WLを使用して、米米クラブやゆず、そして今回寺地美穂のアルバム『Beautiful Magic』のレコーディングを手掛けたエンジニア、藤原暢之氏にサックス録音にお薦めのDW-44WLの録音用セッティング方法をレクチャーしていただきました。演奏は寺地美穂さんに担当いただき、レコーディングした音源を本誌付録CDに収録しています。実際にDR-44WLでレコーディングしたサウンドを聴いて、マイク・セッティングによるサウンドの違いを確認してみてください。マイク・セッティングを工夫することでハンディ・レコーダーでも高音質なレコーディングか可能なことがお分かりいただけると思います。それではサックス録音にお薦めのDR-44WLのセッティング方法を紹介してもらいましょう。

※サックス・ワールドVol.1の付属CDにDW-44WLを使用してレコーディングした音源を3トラック収録しています。

楽器に近いセッティング

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レコーダーをプレイヤーの口付近からサックスのベルに向けてセッティングします。私が今回録音を担当した寺地美穂さんのCD『Beautiful Magic』でも、このマイク・セッティングを基本に録音をしています(藤原)。

楽器から離したセッティング

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広い空間でお薦めのセッティングで、レコーダーを上部からプレイヤーの顔を狙ってセッティングしています。その空間で演奏を聴いているような自然な感じのサウンドで録音が可能です(藤原)。

外部入力を活用してマイクを追加

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上記とのセッティングをミックスして芯のあるサウンドに広がりをミックスする手法です。DR-44WLはマイクを2本追加で接続できる外部入力が搭載されているので、内蔵マイクと合わせて4チャンネルの同時録音が可能です。今回はアンビエント(空間)用にSM-58をステレオで用意し、DR-44WL本体はのポジション(オン・マイク)、SM-58はのポジション(オフ・マイク)にセッティング。の芯のあるサウンドにを追加することでサウンドの広がり感をプラスしています(藤原)。

DR-44WLの操作性について

スマホ用無償アプリでDR-44WLをフルリモート・コントロール
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今回僕がDR-44WLでレコーディングしてみて驚いたのが無償アプリ“TASCAM DR COTROL”の使い勝手の良さです。アプリからDR-44WLをワイアレスでコントロールできるので、今回のセッティングのようにDR-44WLが手の届かない高い位置にあっても録音、再生などがコントロールできるのはもちろん、入力レベルの調整やメーターの確認までこのアプリでできてしまうのは本当に便利ですね。さらに録音した音声をWi-Fi経由でスマホに伝送して再生も可能です。バッテリーの残量など本体のパネルに表示さている情報が全てスマホで確認できて、この進歩には正直驚きました。
 自宅に防音室や決まった練習スペースがある人はそこにDR-44WLを常時セッティングしておいて、スマホ側でコントロールすれば、まるでスマホで録音しているような手軽な操作でDR-44WLの高品位マイクを使用しての録音ができますね。今回DR-44WLを使ってみて、サックスの練習用にこういう使い方をしても面白いと思いました(藤原)。

 

レコーディング・エンジニア 藤原暢之

このサイズと価格でどんなサウンドで録音できるの? と思ってテストしたのですが想像以上によかったですね。サックスから離したセッティングで録音したときはサックスのサウンドがよりナチュラルに録れていると思いました。

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PROFILE 大阪府出身。ベイブリッジスタジオ、キーストーンスタジオ(株式会社ミックス)、ファロスなどを経て、現在はフリーランスのレコーディング・エンジニアとして活躍中。ゆず、米米CLUB、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE、野宮真貴らのアーティストや、サウンドトラック、ゲーム音楽など多数のレコーディングを手がけている。

サックス演奏 寺地美穂

すごく手軽に録音できるのに音はクリアでいいんじゃないでしょうか。離れたところにセッティングしてもスマホのアプリでコントロールできるのはiPhoneのボイスメモなどでもできないことなので画期的だなと思いました。

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PROFILE 高校の吹奏楽部でサックスに出会う。2004年ニューヨーク州立大学へ留学。2011年舞台「オーデュボンの祈り」で舞台女優を経験。2012年以降、目黒ブルースアレージャパンを拠点としてライブを開催。2013年ミニ・アルバム『Fate』を発表。2014年、堀江有希子(as)、midori(ts)と結成したsax triplets、でのユニット活動も開始。本年7月に『Beautiful Magic』で待望のメジャー・デビューを果たす。

取材協力:Flash Light Studio
撮影:小原啓樹

Wi-Fiによるリモート・コントロール、再生モニタリング、

ファイル転送を実現した次世代PCMレコーダー

TASCAM DR-44WL

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オープン・プライス
(市場予想価格:33,111円前後)

・ 本体だけで高音質録音可能な本格的なX-Y方式ステレオマイクを搭載
・ お好みのコンデンサーマイクを使ってのレコーディングにも対応するXLR/TRS外部入力端子を搭載
・ 無償専用アプリ「TASCAM DR CONTROL」でタッチノイズ無縁のロー・ノイズ・レコーディングを実現
・ 音声ファイルをWi-Fi経由でスマートホンやパソコンに転送可能。SNSとの高い親和性
・ レベル調節機能などだれでも簡単に高音質録音がお楽しめるよう数々の自動化機能を搭載
・ 4トラックのMTRモードを活用して本格的な楽曲制作が可能

問い合わせ先:ティアック タスカムカスタマーサポート
電話:0570-000-809 URL:https://tascam.jp

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LATEST ISSUE

2024年9月12日発売

サックス・ワールドVol.34

◎表紙&巻頭特集 連続テレビ小説『虎に翼』とサックス 今井悠貴/上川周作/井出慎二/屋嘉一志

インタビュー
・ジョー・ロヴァーノ
・対談:カーク・ウェイラム × 本間将人
・マーク・ターナー・遠藤真理子・千野哲太

◎サックス・プレイヤーズ・ギア・ファイル
・谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)
ジャズの巨匠:デイヴィッド・サンボーン追悼企画 拡大版
◎音の匠:スタジオ・サックス・プレイヤーの仕事
 トレヴァー・ローレンス(スティーヴィー・ワンダー、マービン・ゲイ、ザ・ローリング・ストーンズ)

◎インスト企画
・新素材リード最前線2024
・現行マウスピースでデイヴィッド・サンボーン・サウンドを再現!

◎奏法ノウハウ企画
・中村有里直伝!! ロングトーン徹底講座

◎付属CD&スコア連動企画(模範演奏&カラオケ)
・「GET BACK IN LOVE」山下達郎(ss)/演奏:伊勢賢治
「アメイジング・グレース」レゲエ・アレンジ(ts)/演奏:屋嘉一志
・「ウィール・ビー・トゥゲザー・アゲイン」(as/ts)/演奏:青柳 誠
・「バッハ 15インベンション 第15番 BWV 786」(as/ts)/演奏:門田”JAW”晃介

 
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