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本誌連動企画

NuRADユーザー 実践レポート 第7回 NuRAD × 千野哲太

次世代ウインド・コントローラーNuRAD
その魅力と実践的活用法を千野哲太が徹底レポート!!

プレイヤーとしてだけでなく、クリエイター目線でも多彩な音楽表現や新たな奏法を意欲的に探究する千野哲太が、今、もっとも熱い視線を送るギアが次世代ウインド・コントローラーNuRADだ。長年クラシックを学び、そしてフュージョン/ロックにも精通する千野の感性はNuRADのどんな部分に刺激を受けているのだろうか。彼独自のユニークな視点でNuRADの魅力を大いに語ってもらおう。

● インタビュー・文 布施雄一郎 
● 撮影 富田一也
● 取材協力 トート音楽院

※サックス・ワールドVol.34( 2024/9発売)より転載
※ 取材当時のアーティスト使用機材はNuRAD R2の導入前のためR1にて紹介しています。NuRAD R2はNuRAD R1から機能と機構が改善されており、一部スペックが異なります。

 

NuRADにはサックスや他のウインド・シンセで感じていた自分と楽器の間の距離がない

ウインド・シンセ歴を教えてください。
千野 中学時代にバンドを始めて、T-SQUAREが好きになったときに“この真っすぐな楽器、何だろう?”とEWIを知りました。それから10年ほど経って、昨年の5月、初めてEWI5000を買って。最初はまったく吹きこなせなかったんですが、“全然吹けないということは、これはオモチャではないな”と感じて、もっと面白いことができるんじゃないかといろいろと調べていく中でNuRADを知ったんです。

NuRAD導入に至ったポイントは?
千野 NuRADを手にした人が、みんな“これはホンモノだ”と言っていて。確かに価格もホンモノ級でしたので(笑)、それならばと所持金すべてを投入して、昨年の年末に購入したんです。でも届いたら、まったく音が鳴らない。そこで音源が必要だと知り(笑)、ソフト音源「IFW」をダウンロードして頑張って人前で吹くようになったら、明らかにお客さんの反応が違ったんです。しかも買った一カ月後に、サックス&エアロフォン奏者のmusaさんとウインド・シンセ2本でのライブ「Cyber Sound Wave」が決まっていて、そこでNuRADを吹いたときに“絶対にこれだ!”という感覚があって。

具体的には?
千野 今まで僕が吹いてきた楽器の中で初めての、音を鳴らすときのダイレクトさです。EWIやエアロフォンって、息を入れるだけで音が鳴らせる素晴らしさがありますが、自分と楽器の間に何かひとつ距離があるように感じていて。それをデメリットと感じたこともなかったんですが、NuRADを吹いたときに、その距離がない、異次元のダイレクトさを感じたんです。実はサックスも、僕の中では楽器との距離を感じていて。例えば、開放音のときはビヤッと鳴らないように息をまとめて吹くとか、フラジオの高音域で奇麗に歌えるように気を付けるとか、今でこそ意識せずに演奏できていますが、それでも100%無意識ではないわけで。だけどNuRADは、そこを意識せずとも自分の思ったとおりの音が出せる。だから頭のリソースをすべて表現に割けるんです。ただそれは言い換えると、自分の中に表現したいもの、しっかりした“歌”がないと思ったとおりの演奏ができないわけです。

そこがNuRADの面白さでもあり、難しさでもある、と。
千野 車で例えるなら、サックスや他のウインド・シンセはオートマ車で、NuRADはパワステもないマニュアル車。すべて自分で操作する。NuRADから“オレはまだイケるけど、お前はどうしたいの?”と言われているようで、そこに僕は魅力を感じています。とは言え、何せウインド・シンセを手にしたのが一年前ですから、まだ分からないことだらけで(笑)。だけど、そんな時期だからこそできることがあると思っていて、サックスの感覚を強く持っている段階で、まずやりたいことを自分の中で消化させようと取り組んでいます。しかもそうやってNuRADを吹いているといろんなアイデアが湧いてきて、NuRADで発見した演奏表現をサックスに逆輸入したりもして。そうした表現って、どれだけサックスの枠の中で練習しても絶対に生まれない発想だから、サックスをメインでやっていこうという人でも、NuRADに挑戦してみることで、サックスの演奏表現を向上できると思うんです。

NuRADに出会ったことで、サックスをもっと続けたいと思えるようになりました

X(旧Twitter)でも“(自分がNuRADで先に)新しい奏法を見つけちゃうよ”と投稿されていましたよね。
千野 まだまだ全然ですけど、みんながNuRADを始める前に僕がやりたいという気持ちもありますし、それってNuRADが誕生して間もない今だからこそ可能なことであって、だから少しでも興味を持っているサックス奏者に“始めるなら今しかない!”と伝えたいですね。実はこの数年、サックスの表現の中だけでやっていくことに面白さを感じなくなって、この秋で一旦、ソロ活動に区切りをつけようと考えていたんです。それがNuRADに出会ったことで、サックスをもっと続けたいと思えるようになりました。NuRAD自体も、これからが一番進化していくタイミングだと思うし、まだまだ可能性も広がっていくはずなので、僕自身、ユーザーとして楽しみながら、NuRADの進化を追っていきたいと思っています。


“NuRADはピアニシモでの表現力が素晴らしく、サックス以上のダイナミクスを表現できる”と語る千野。本体は基本的にノーマル仕様で、USBケーブル止めと息抜き機能のみを追加搭載。ただし実際には息抜き量は閉じめにして、シンセ側でフィルターが開きにくくなるような設定にしている。車好きの千野らしく、ボディ・カラーは車体塗装と近いシルバーにカスタマイズ。


NuRADはテクニックを披露するだけでなく、バラードに適していると感じ、出音重視で現在はローランドのSH-4Dをメイン音源として使用。多彩な音色を切り替えて使うというより、“自分のNuRADはこの音で、吹き方によってこれだけのニュアンスを表現できる”という点を追求しているそうで、ライブで使う音色も3つ程度だそうだ。


出先でライブ配信をしたり、ライブの前に練習するような場合には、ウインド・シンセに特化して開発されたソフト音源「IFW(Instrument For Wind Controller)」を使用。パッと手軽に録音するような際にも利用することがあるそうだ。


YouTube動画を作成するためにPCに録音したり、ライブ配信を行う際にはユニバーサルオーディオapollo x4(オーディオインターフェース)を使用。コンパクトで高音質のためデスクトップでも使いやすいモデルだ。

Profile 千野哲太 [ちの・てった]
第16回Jr.サクソフォーンコンクール第1位を受賞し神奈川県立弥栄高校芸術科を卒業、東京藝術大学器楽科に入学。学内選抜により、ソリストとして芸大フィルハーモニー管弦楽団とパガニーニ作曲ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調(ソプラノサクソフォーン版)を世界初演。在学中よりプロとして活動する中で従来の一般的な音楽活動に疑問を持ち、日本初の音大生による学生団体を設立し、ライブ配信アプリではまさに先駆者となり演奏配信者が活動する土壌を作るなど、音楽家のSNSブームの火付け役のひとりとなる。大学卒業後、日本中を旅する音楽家として各地で路上ライブも行う。その様子がYouTubeで大ヒットし、全てのチャンネルでの累計再生回数は6000万回を超える。その活動はクラシカル・サクソフォーンの演奏のみならず、主にサクソフォーンのための新曲制作、動画や音声メディアの制作なども行い新たな音楽活動を常に模索している。サクソフォーンを田村哲、田村真寛、冨岡和男、須川展也の各氏に師事



NuRADのオプション・カラー 左からトワイライト、スノー&アイス、パープルレイン


■Berglund Instruments NuRADR2
価格 258,500円 (ベーシック・モデル/税込)
価格 267,300円 (Lipoバッテリー搭載モデル/税込)

主な特徴
● スタイナーホーンとEWIの基本的な演奏方法を踏襲
● バイト・センサーに高精度の気圧センサーを採用。更に細かいニュアンスが再現可能に
● 本体重量約650g、長さ46cm 幅14.5cm 高さ4.5cmと超軽量コンパクト設計
● 有機ELディスプレイを搭載。ブレスカーブや感度の調整や、MIDIの設定などをエディター不要で調整可能
● 本体バック・パネルに装着されている5 PIN DIN 端子からMIDI出力するのと同時に、NuRADからは同じ端子から常時CVアナログ信号も出力。別売のCV-Board for EuroRack、もしくはCVXG-Board for EuroRackのに接続すると、モジュール内でCV信号を取り出してアナログCV出力変換(ミニプラグ)し、外部のアナログ・シンセサイザーなどの音源との接続が可能に。
● 標準カラーObsidianに加え、オプション8色を用意 (カラーによって有償オプションの場合があります)。
● ストラップを使用しての演奏スタイルのほかに、付属ハンドレストを使用してのストラップレス奏法にも対応
● Lipoバッテリー・オプションを搭載することで最大14時間の駆動が可能

製品Webサイト

㉄ コウスキミュージックアンドサウンド
TEL:048-494-1017 
E-mail:info@kohske.com
Web https://kohske.com/


LATEST ISSUE


2026年9月14日発売

サックス・ワールドVol.42

◎表紙&巻頭特集:デイヴ・コーズ・フレンズ:サマー・ホーンズ featuring デイヴ・コーズ&レオ・P
インタビュー:ウォルター・スミス3世、村越 葵
対談企画 佳子(CiON)× AKINA(ex. Folder5)、本田雅人&宮崎隆睦 NuRAD対談
ジャズの巨匠 オーネット・コールマン

◎楽器特集
・究極のハイバッフル・アルト・サックス用マウスピースを探せ!(ラバー/樹脂製編)
・ジョディ・ジャズ/ジョディ・エスピナが語るマウスピース・デザイン&“QUASAR”開発ストーリー

◎演奏ノウハウ特集
・初心者のためのジャム・セッション入門講座(CD連動)

◎付属CD&スコア連動企画(模範演奏&カラオケ)
・「Ya Ya(あの時代を忘れない)」サザンオールスターズ
     演奏:伊勢賢治(ss)
・「ラヴ・ミー・テンダー(オーラ・リー)」
     演奏:青柳 誠(as/ts)
・「無伴奏チェロ組曲 第2番 アルマンド」
    演奏:門田”JAW”晃介(ts/独奏)
・エルガー「愛の挨拶」(レゲエ・アレンジ)
   演奏:千野哲太(as)

 
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