先進的ウインド・コントローラーNuRADの第一人者である、サックス・プレイヤー本田雅人。これまでも本誌でNuRADの魅力を語ってもらったが、今回、自身のモデルにさらなるカスタマイズを行ったという情報をキャッチ。そこで本号と次号の2回に渡り“New本田カスタム・モデル”を大特集。今回は、新たなカラーリングを含め、本田氏こだわりの最新カスタム内容を詳細にレポートしよう。
● インタビュー・文 布施雄一郎
● 撮影 富田一也
● 取材協力 トート音楽院
※サックス・ワールドVol.32( 2024/3発売)より転載
※ 取材当時のアーティスト使用機材はNuRAD R2の導入前のためR1にて紹介しています。NuRAD R2はNuRAD R1から機能と機構が改善されており、一部スペックが異なります。
NuRADの斬新なデザインを カラーリングで、 よりカッコよくできると思った。
● 今回のカスタマイズの目的は?本田:サックス・ワールドVol.30で紹介した本田カスタム・モデルで機能面は納得いく状態にできたので、今回はカラーリングがメインです(写真①②)。オリジナルのままもいいと思うんですが、形が斬新ですから、それをカラーリングで、よりカッコよくできるのではと思いまして。ボディ面も広いですし、自分が手にするという意味でも、楽器としてのNuRADの魅力という側面でも、自分なりにデザインしたいと思ったんです。
● デザインのイメージは?本田:以前EWIをカラーリングしたときもそうだったんですが(写真③)、楽器ではあるけど、どこかF1マシンやスポーツカーのようなスポーティなイメージで。オリジナルのアクリル・スケルトンも未来感があっていいけど、若干プラスティッキーな感じもあって。楽器としての高級感をもっと出したいなって思ったんです。EWIも素材は同じプラスチックですが、もっと金属っぽいというか硬質な印象がありますよね。そういう、管楽器とは違うけど、よりスタイリッシュになればいいな、と。
● 色はどのように選びましたか?
本田:洋服選びじゃないですけど、自分の中で普段使いの楽器としてこの2色がいいかな、と。他の色も考えましたが、イエローは阪神タイガースのモデルでもう十分(笑)。ブラックもよかったんですが、ステージではどうしても地味に見えてしまう。その点、ホワイトは照明映えするので最後まで迷いましたが、今回はあまり必然性を感じなかったので、最終的にレッドとブルーを選びました。
● 機能面でのカスタマイズ内容も、改めて教えてください(詳細写真は下欄に掲載)。
本田:まず、使い慣れているEWIのオクターブ・ローラーを移植して、その右側にグライド・プレートを付けました(写真⑤)。それと、NuRADは小指のあたりにサックス以上にピン・キィがたくさんありますが、僕はそれほど使わないので、演奏中に間違ってキィに触れてしまわないように対策しています(写真④)。あとは息抜き改造ですね(写真⑥⑦)。NuRADは、初期のEWI1000と同じように息が抜けないんです。それが好きという方もいますが、EWI3000のように息が抜ける方が僕は吹きやすいので、それに対応してもらっています。息の強さに対しての反応は、本体側の設定で調整しています。機器としてはデジタルですが、ブレス・センサーだったりの部分はアナログなので、そこは1台1台フィーリングを確かめて、設定値も、個体ごとに微調整しています。
● 機能面に加え、今回のカラーリングで、まさしく“本田スペシャル”が完成したというわけですね。
本田:機能的にはこれをデフォルトにして欲しいくらい(笑)、僕的には満足しています。しかもNuRADはカラーリングもしやすいと思うんですよ。EWIでも自分でデザインするユーザーがたくさんいましたよね。“どうやって塗ったの?”と驚くほど凝った人もいて。そういう方ならNuRADはかなり塗り甲斐もあると思います(笑)。やっぱり楽器ですから、機能面だけでなくルックスも大事。それが所有欲にもつながって、ウインドシンセがもっと盛り上がると嬉しいですね。

写真① 写真左より、Grotta Azzurra(青の洞窟)、虎ッド・イエロー(非売品)、Rosso Corsa(レーシングレッドの意)。各カラーのネーミングは本田の命名で、Rosso Corsaモデルの縦の3本色ラインはイタリア国旗の指定色とのこと。インタビューでも語られているように、スポーティかつストライプを入れることでスタイリッシュにデザインされている。

写真② 今回、新たにカラーリングが施されたGrotta Azzurra&Rosso Corsa2モデルのボディ上部に入れられた本田氏のサインはファン必見!

写真③ 写真左は、EWI3020のフェラーリ・カラー。EWIの直線系デザインを生かしたスピード感に対し、NuRADはボディ表面の大きさを最大限に利用し、遊び心満点のカラーリングが施されている。
本田カスタム・モデルの改良ポイント
写真左

写真④ 本田カスタム・モデル(写真右/赤い楽器)は演奏中に誤って触れてしまって、想定外の機能が動作しないように、キィの長さや取り付け角度が細かく調整されている。

写真⑤ 本田カスタム・モデル(写真右/赤い楽器)のオクターブ・ローラーは、オリジナルのものからEWIで使用されていたものを移植。ローラーの径が大きく太めなため、操作しやすいと言う。さらに、基本となるオクターブ・ゼロのポジションにあたるローラーにはギザギザの切り込みが入っており、指の感覚で位置がわかるようになっている。オクターブ・ローラー横にはグライドプレートを増設。向かって右側、右手親指側のビブラートレバーを取り除いている。オクターブ・ローラーの上部には、USBケーブルが演奏の邪魔にならないようにケーブルを固定するための溝が追加されている。

写真⑥ 本田カスタム・モデル(写真右/赤い楽器)のFキィ(RH1)、Eキィ(RH2)の横に設置された小さなツマミは、息抜き量のコントローラー。吹奏感に大きく影響する息抜きの量を好みに微調整できる。

写真⑦ 本田カスタム・モデル(写真右/赤い楽器)の本体下部には、オリジナルには無い息抜きチューブ用の穴を増設。マウスピース部で吹き込んだ息が、チューブを伝って外に抜けるように改造されている。
カスタム・カラー・オーダー受注スタート!
ベルグランド・インストゥルメンツの製造販売を手掛けるコウスキミュージックが、ユーザーより要望の多かったNuRADのカスタム・カラー・オーダーを開始する。今回紹介した本田カスタム・モデルのように、様々なカラー・オーダーに対応可能。

阪神タイガースの熱狂的ファンである本田が、38年ぶりの日本一を祝して昨年末にカスタマイズした“虎ッド・イエロー”モデル(非売品)。ちなみに本田は、18年前(前回2005年のセ・リーグ優勝時)にもEWIをタイガース・カラーにカスタマイズしている
Profile 本田雅人 [ほんだ・まさと]
音楽教員の両親の影響で幼少から音楽に興味を持ち、小学三年生でサックスを始める。国立音楽大在学中よりプロ活動を開始。1991年にT-SQUAREに加入すると、バンドのフロントを務めると共に、作曲、アレンジの面でも新風を巻き起こす。1998年にT-SQUAREを離れたのち、多くのアーティストのレコーディングやアレンジ、プロデュースなどで多方面に渡って精力的に活動している。また、現在は昭和音楽大学の客員教授として後進の指導に当たる。

NuRADのオプション・カラー 左からトワイライト、スノー&アイス、パープルレイン
■Berglund Instruments NuRADR2
価格 258,500円 (ベーシック・モデル/税込)
価格 267,300円 (Lipoバッテリー搭載モデル/税込)
主な特徴
● スタイナーホーンとEWIの基本的な演奏方法を踏襲
● バイト・センサーに高精度の気圧センサーを採用。更に細かいニュアンスが再現可能に
● 本体重量約650g、長さ46cm 幅14.5cm 高さ4.5cmと超軽量コンパクト設計
● 有機ELディスプレイを搭載。ブレスカーブや感度の調整や、MIDIの設定などをエディター不要で調整可能
● 本体バック・パネルに装着されている5 PIN DIN 端子からMIDI出力するのと同時に、NuRADからは同じ端子から常時CVアナログ信号も出力。別売のCV-Board for EuroRack、もしくはCVXG-Board for EuroRackのに接続すると、モジュール内でCV信号を取り出してアナログCV出力変換(ミニプラグ)し、外部のアナログ・シンセサイザーなどの音源との接続が可能に。
● 標準カラーObsidianに加え、オプション8色を用意 (カラーによって有償オプションの場合があります)。
● ストラップを使用しての演奏スタイルのほかに、付属ハンドレストを使用してのストラップレス奏法にも対応
● Lipoバッテリー・オプションを搭載することで最大14時間の駆動が可能
㉄ コウスキミュージックアンドサウンド
TEL:048-494-1017
E-mail:info@kohske.com
Web https://kohske.com/









