先進的ウインド・コントローラーNuRADのパイオニアとして、演奏性・操作性を重視したカスタマイズのみならず、多彩なカラーリングでNuRADの魅力を発信し続けているサックス・プレイヤー本田雅人。そんな彼が、なんと今回、“阪神タイガース承認NuRAD”をプロデュースし、一般に発売されることになった。製品化に至る経緯やモデルの詳細について、本田自身におおいに語ってもらった。
● インタビュー・文 布施雄一郎
● 撮影 渡辺開史(スタジオ・フォトアルチザン)
Ⓒ 阪神タイガース
※サックス・ワールドVol.36( 2025/3発売)より転載
“本田モデル”は 今の段階ではベストの状態だと思っています。
●どういう経緯で阪神タイガース承認NuRADの発売が実現したのですか?
本田 僕は小学生のころから阪神タイガース・ファンで、2005年に阪神が優勝したときにもタイガース・カラーのアカイEWIを作ったことがあるんです。それで一昨年、阪神が18年ぶりにセ・リーグ優勝、38年ぶりの日本一になった際に、冗談半分で“NuRADもタイガース・カラーにできるといいな”って話をしたら、実際に“虎ッド・イエロー”・モデル(非売品)をカスタマイズすることができて。ただそれはあくまでも個人的な趣味の範囲で楽しんでいたものだったんですが、今回、なんと阪神タイガースに承認いただけることになって。まさか承認のアイテムとして商品化できるとは思ってもいなかったので、とても嬉しいです。デザイン的にも、僕がイメージしたデザインを、ほぼ変えることなくOKをいただけました。
●“阪神タイガース承認NuRAD”2タイプがラインナップされているそうですね。
本田 商品化については、いつもNuRADをカスタムしてくれているコウスキミュージックさんにお願いしましたが、NuRAD R2のデザインをタイガース仕様にした“通常モデル”と、それに息抜き機能と、あと演奏しやすいように本体下部からUSBケーブルが出るようにカスタマイズした“本田モデル”が発売されます。僕自身が普段メインで使っているNuRADは、R1(初期モデル)を自分好みにカスタマイズしたものなんですが、そもそもアップグレード・モデルのR2は、オクターブ・ローラーの径が太くなったり、その横にグライド・プレートが標準搭載されたりと、僕が“こうだったらいいのに”とR1をカスタマイズした点の多くが改良されているので、それについてもありがたく思っています。
●すると“本田モデル”は、仕様面でも本田さんの理想形?
本田 今の段階ではベストの状態だと思っています。そのうえで最近は、ブレス・カーブの設定やセンサーの強さ、つまり息の強さによって変わる要素をいろいろと試していて。個体によっても微妙に変わる部分ですし、その調整によって“より吹きやすい/吹きにくい”が出てくるポイントでもあるので、ブレス・カーブやセンサーの調整は、自分なりに、今までとはちょっと違う形でやってみようと。そもそも、もともとは息が抜けない構造だったものを、抜けるように改造してもらっていることもあって、息の抜け具合やセンサーの設定次第で調整できる幅がとても広いので、自分にとって最適なセッティングを探る作業をしているところです。
●理想形のNuRADを最適にセッティングして、しかもタイガース・カラーとなれば、それを使って甲子園球場で「六甲おろし」が演奏できたら、もう最高ですね(笑)。
本田 そうですね。ただ、多くのタイガース・ファンはまだNuRADを知らないでしょうから、ポカンとされるかもしれませんけどね(笑)。既にこれまでもカスタム・メイドの“虎ッド・イエロー”モデルは主に関西でのライブで吹いていましたが、タイガース承認モデル発売のお知らせも兼ねて、これからは関東の巨人ファンに気を使いつつ(笑)、全国的にも使っていきたいと思っています。
本田流ブレス・カーブやセンサー設定術を伝授
音量の変化だけでなく、音色をどう変化させるかが大事なポイント
サックスは小さく吹いたときと大きく吹くときとで、音量差だけでなく、自然に音色にも差が生まれ、それでダイナミクスが表現できます。ビンテージの楽器はその差が大きく、吹いていて気持ちがいいですし、演奏にも味が出る。だからビンテージがもてはやされるわけです。NuRADを含めたウインド・シンセも同じで、音量の変化だけでなく、音色をどう変化させるかが大事なポイントになります。 そのためのコツは“全開で吹かない”こと。例えば、ちょっと息を入れただけで100(最大)の音が出る楽なセッティングだと、どうしても大きな音量、なおかつフィルターが開いた状態でずっと吹いてしまい面白味のない演奏になりがちです。そこで、すぐには鳴らない、少々抵抗を感じるくらいのセッティングにし、強く吹いたときにフィルターが開くように調整しておくと味を出しやすい。その際に、どんなブレス・カーブで、どのくらい強く吹くいたときにどのくらいフィルターを開くかといった設定が重要になります。このあたりの話はシンセサイザーの知識が必要になるので、基礎だけでも知っておくと演奏に対するこだわり方が随分と違ってくると思います。
本田モデル(写真上)は、イエロー・ストライプ部分に“MASATO HONDA”のシグネチャー入り。しかも阪神タイガースの選手用ユニフォームと同じフォントが使用されている。機能面では、本体下部にオリジナルには無い息抜きチューブ用の穴と、側面に息抜き量のコントローラーが増設されており、USBケーブルが演奏の邪魔にならないように固定するための溝が裏面に追加されている。一方の通常モデル(写真下)にはシグネチャーがなく、機能面はNuRAD R2の基本仕様となっている。

Profile 本田雅人[ほんだ・まさと]
音楽教員の両親の影響で幼少から音楽に興味を持ち、小学三年生でサックスを始める。国立音楽大在学中よりプロ活動を開始。1991年にT-SQUAREに加入すると、バンドのフロントを務めると共に、作曲、アレンジの面でも新風を巻き起こす。1998年にT-SQUAREを離れたのち、多くのアーティストのレコーディングやアレンジ、プロデュースなどで多方面に渡って精力的に活動している。また、現在は昭和音楽大学の客員教授として後進の指導に当たる。

NuRADのオプション・カラー 左からトワイライト、スノー&アイス、パープルレイン
■Berglund Instruments NuRADR2
価格 258,500円 (ベーシック・モデル/税込)
価格 267,300円 (Lipoバッテリー搭載モデル/税込)
主な特徴
● スタイナーホーンとEWIの基本的な演奏方法を踏襲
● バイト・センサーに高精度の気圧センサーを採用。更に細かいニュアンスが再現可能に
● 本体重量約650g、長さ46cm 幅14.5cm 高さ4.5cmと超軽量コンパクト設計
● 有機ELディスプレイを搭載。ブレスカーブや感度の調整や、MIDIの設定などをエディター不要で調整可能
● 本体バック・パネルに装着されている5 PIN DIN 端子からMIDI出力するのと同時に、NuRADからは同じ端子から常時CVアナログ信号も出力。別売のCV-Board for EuroRack、もしくはCVXG-Board for EuroRackのに接続すると、モジュール内でCV信号を取り出してアナログCV出力変換(ミニプラグ)し、外部のアナログ・シンセサイザーなどの音源との接続が可能に。
● 標準カラーObsidianに加え、オプション8色を用意 (カラーによって有償オプションの場合があります)。
● ストラップを使用しての演奏スタイルのほかに、付属ハンドレストを使用してのストラップレス奏法にも対応
● Lipoバッテリー・オプションを搭載することで最大14時間の駆動が可能
㉄ コウスキミュージックアンドサウンド
TEL:048-494-1017
E-mail:info@kohske.com
Web https://kohske.com/













