“ジャム・セッション”と聞くと、どうしても苦手意識が先行してしまう——そんなあなたに朗報! 渋谷のトート音楽院にて、ジャム・セッションをテーマにした講座が開講。これは音楽理論の座学を通して高度なインプロヴィゼーションを学ぶもの……ではなく、ジャム・セッションに参加する下準備や心構えを身につけることを目的としたもの。セッションを通して、音楽のおもしろさを再認識してほしいと語る講師3人に話を聞いた。
● 取材・文:大伴公一
まずはジャム・セッションの敷居の高さを取り払うことが目的
—近年、ジャム・セッションの日程を定期的に設けたライブハウスも増えました。ただ、“敷居が高くて行けない”という声も多く聞こえてきます。
井出(sax) そうなんですよ。楽器上達のためにも、プレイヤー同士の交流のためにもジャム・セッションは有用なのですが……最初の敷居が高いのが難点。
佐藤(ds) ジャム・セッションは本来、自分ができることをやっていれば問題ないはず。けれどその基本的なことを教わる場がなかなかありませんからね。イメージ先行で苦手意識が肥大していってしまったケースも多くありそうです。
藤田(b) 極端にいえば、アドリブなんて間違っていてもいいんですよ。海外へ行くと下手な人も多く参加していますからね。それでもコミュニケーションができていれば、会場全体で盛り上がることができる。日本人は繊細でクヨクヨするタイプの人も多いけれど、まずは参加してみないとなにも始まりません。そのための不安要素を、こういうセミナーで払拭できればいいですね。
井出 確かに、ある程度年齢を重ねるとどうしても失敗を恐れるようになりますから。でもみんな、子供のころは失敗を恐れずに遊んでいたじゃないですか。幼稚園でカスタネットやタンバリンを一緒に叩いて……あの楽しさを大人になったいま再びジャム・セッションで経験してほしい——今回のセミナー発足の糸口はそんなところにあります。
—ジャム・セッションの講座というのはこれまでにもありましたが、それでもやはり敷居が高いものが多い印象です。
井出 今回は“超”がつく初心者に向けての講座。最初からアドリブを演奏することを目的とせず、まずはジャム・セッションへの偏見や敷居の高さを取り払うことが目的です。参加資格は、自分の楽器を持っていること。アドリブができないのはもちろん、コードが分からなくてもいいし、譜面が読めなくてもいい。サックス限定でもありませんから、友達と一緒に応募しても大丈夫。“楽器で遊ぶ”くらい気楽なところから始めたいと思います。
藤田 吹奏楽やクラシックで楽器歴はあるけれど、ジャム・セッションに行ったことはないという人も多くいますからね。そういう方も大歓迎です。
その場のみんなと良い雰囲気が作れたらそのセッションは成功
—実際にセミナーではどのようなことをするのでしょう?
井出 ジャム・セッションとはなんなのか、どうしたら楽しめるか、受講生みんなで理解を深めていきます。ビートの乗り方についてなど実践も交えながら、体全体で音楽を感じ、まずは演奏を楽しむことを目指します。初回で良い反響をいただけたら、半年ぐらいのサイクルでもう少し踏み込んだ講座もやってみたいですね。
佐藤 例えば指が回らないとか、コードの理論について知識が足りなかったとしても、自分ができる限りのことを演奏して、その場のみんなと良い雰囲気が作れたらそのセッションは成功。そういう体験を積んでいくことで、より音楽の楽しさを味わえるようになると思います。
井出 そうだね、まずはなにより成功体験。このセミナーでは、藤田くんと佐藤くんのサポートで、どんな大暴投でも、変化球でも、全部ストライクにしますから安心してください!
佐藤 シンプルに“音楽って楽しい”ということを知ってほしいですよね。せっかく音楽やっているのに、しんどいこと、辛いことばかりだったら、やめちゃいますから。
藤田 ふたを開けてみて“なんだ、こんなものか”と思うことができれば、もう一歩踏み込めると思います。僕自身、初心者だったころのことを思い出して、みんなで楽しめるようにしっかりサポートします。
井出 ジャム・セッションは音楽を媒介としたコミュニケーションでもありますから、参加することで得られる経験がきっと趣味の幅を広げ、人生の楽しみを増やしてくれると思います。お店のセッションにも怖がらず行けるようになれば、出張先などに楽器を持って行き地元のジャム・セッションに参加する……なんてことができるようになるかも。いきなりお店のセッションに参加するのが“怖い”と感じるなら、まずはこのセミナーでその苦手意識を一緒に取り払いましょう!
“超“がつく初心者向けジャム・セッション講座 参加受付中
■内容:楽器を初めてからまだ間もない“超”がつくほどの初心者の方、楽器経験はあるもののアドリブ・ソロに挑戦されたい方を対象とした、人前でソロを吹く自信がない方向けに、まずは敷居の高さや恐怖心を取り除くことからスタートする、アドリブへの入り口をガイドするセミナーです。まずは楽器で遊ぶことからスタートし、アドリブを楽しく学べるようにプロ奏者が徹底的にサポート!音階やコードを知らなくてもご参加いただけます! すべての楽器が対象ですので是非お誘いあわせの上ご参加ください。
■日時:2024年9月21日(土) 16:30〜18:30
■会場:トート音楽院 渋谷校 セシャトホール
東京都渋谷区渋谷2-22-8 名取ビル8階
■定員:20名
■参加費:2,200円(税込)
■対象楽器:すべての楽器(管楽器、弦楽器、和楽器なんでもOK)
■対象者:楽器を初めて間もない方、アドリブを学びたい方、ジャム・セッションが怖い方など
■ 講師:井出慎二(サックス奏者) リズム隊:藤田奏(ベース)、佐藤順(ドラムス)
■申込:下記申込フォームにアクセスの上、ご記入・ご送信ください。お電話、メールでも受け付けています(連絡先は下記をご参照ください)。
講師
井出慎二(サックス奏者)
Profile:明治大学在学中に山野や浅草などのジャズ・コンテストでソリスト賞受賞し、卒業後バークリー音楽院に留学。クインシー・ジョーンズ、宇崎竜童、加山雄三、郷ひろみ、木村拓哉、ももいろクローバーZ、aiko、陸上自衛隊第1音楽隊などと共演やレコーディングに参加。 「井出慎二“OK”クインテット」を主宰。ヤナギサワ・サックス、ダダリオウッドウィンズ公認アーティスト。宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士の資格を有し、“サックス・プレイヤー宅建士”として、音楽家の“住”の悩みに寄り添う活動も行っている。
藤田奏(b)
15オのときラジオから流れるKISSに興味を持ちベースを始める。音楽専門学校メーザーハウス在学中にコントラバズを始める。STANFORD JAZZ WORKSH OPに2年連続で参加。BERKLEE COLLEGE OF MUSIC演奏科専攻卒業。学士号(BACHELOR OF MUSIC)習得。 在学中から演奏活動を行い、 スイスにてジャズ フェスティバル等に出演。2005年の帰国後は都内を中心にミュージカル、演歌、歌謡曲をはじめアンサンブル主体のビッグバンドやアドリブ主体のコンボ・スタイルなど様々な場所で活動中。またバークリーメソッドを取り入れたレッスンを行っている。
佐藤順(ds)
1990年神奈川県生まれ。幼少期よりピアノ、 10歳よりクラシック・パーカッションを学ぶ。 大学入学とともにジャズに傾倒し、 都内の老舗ジャズクラブに通いつめ、 独学でジャズドラムを習得。 早稲田大学ハイソサエティ ・ オーケストラをはじめとする複数の学生ピッグバンドヘの参加、 第42回YBBJC優秀賞、 第32回浅草ジャズコンテスト審査員特別賞などの受賞を経て、首都圏を中心に演奏活動を始める。ストレートアヘッドなジャズスタイルを軸としつつも、 現代的なアイデアとテクニックを取り入れた柔軟な演奏で、 ライブサポートやスタジ オレコーディング、 映像作品への出演・演奏指導など活動の場を広げている。
問い合わせ/会場
■トート音楽院・渋谷
渋谷駅徒歩3分 ヒカリエ隣
東京都渋谷区渋谷2-22-8 名取ビル8F
お問い合わせ/体験レッスン申し込み
TEL:03-3407-4100
Mail : info@thoth.co.jp
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