サックス好きのための専門誌Saxworld

アルト・サックス

Yanagisawa A-WO10

ヘビー・タイプながらダイレクトな反応
楽器の懐が深く素晴らしい操作性

 日本が誇るサックス専門メーカー、ヤナギサワからアルトの王道ラインナップA-WO10。このモデルはヘビー・タイプという位置づけで、キングを思わせるオクターブ・キィ形状が特徴的です。まず手に持って感じるのは仕上げの美しさ、そしてスペシャル・コンパクトなキィ配置。こんなにコンパクトなモデルはほかに知りません。キィのバネ圧パッドとトーン・ホールの当たる手応えも絶妙で、フィンガリングが速く正確に決まります。
 ヘビー・タイプという位置付けにしては反応が速くてダイレクト。とはいえメインのマークⅥに比べると多少抵抗感があり、リードを同じ番手の中の柔らかいものに変更してちょうど良い状態になりました(番手を下げるほどではありません)。
 そのかわり音はパワフルで甘く、音域によっての鳴りムラや音色のバラツキが少なく非常に扱いやすい印象でした。強弱に限らず音の立ち上がりが速く粒ぞろい。芯が太い音色はダークからブライトまで幅広い表現が可能で倍音を多く含んだ鮮やかな傾向。オクターブ・キィを押した“レ・ミ”は若干高めな音程になりますが、ほかは吹き方を変えることなく良い音程に決まります。
 楽器の懐が深く操作性・柔軟性も素晴らしいので、腕に覚えありの熟練者から初心者のファースト楽器まで、多くの方にとって最良の選択肢の一つになると思います。店頭で見掛けたら吹いてみましょう!


独自のC #-B連動テーブル・キィ

C #-B bの連動に加え、C #-B間にもシーソー機能を採用し、滑らかでスピーディな運指を実現

樹脂製インナー・オクターブ機構

オクターブ・キィ軸の両端を球形状に加工し、さらに受け部には薄い樹脂を入れることによりガタつきのないスムースな動きを実現

右手バランス・キィ共振(プレ止め)機構

低音演奏時の右手のバランス・キィの共振を防ぐことにより、ブレを止め安定した低音演奏を可能にする

(撮影:田坂圭)

378,000円

(問)プリマ楽器 TEL 03-3866-2215

■SPECIFICATIONS ●管体:ブラス製●塗装:ラッカー仕上げ●彫刻:入り●その他の仕様:High F# キー付●付属品:WO専用ハード・ケース、マウスピース(エボナイト #4)、リガチャー、キャップ、ストラップ、クロス
■試奏環境 マウスピース:バンドーレン V16 A5M、リード:トラディショナル(青箱)2 1/2、リガチャー:バンドーレン・オプティマム


Yanagisawa A-WO10
この動画はZOOM Q4nで撮影されています。

試奏者  副田整歩

クラシックとジャズの素養を併せ持つサックス奏者。アルト・サックスをメインにサックス全種とフルート、クラリネット、ピアノなどを演奏するマルチ奏者としても活動。お経とジャズのユニットNam Jazz Experiment主宰。スタジオ・ワークのほか中塚武、コトリンゴ、YUKIのサポート・ミュージシャンとしても活動している。デリカテッセンレコーディングスよりシングル「Sign」「Mind Travel」配信中。作編曲家としても高い評価を得る。


LATEST ISSUE

2024年9月12日発売

サックス・ワールドVol.34

◎表紙&巻頭特集 連続テレビ小説『虎に翼』とサックス 今井悠貴/上川周作/井出慎二/屋嘉一志

インタビュー
・ジョー・ロヴァーノ
・対談:カーク・ウェイラム × 本間将人
・マーク・ターナー・遠藤真理子・千野哲太

◎サックス・プレイヤーズ・ギア・ファイル
・谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)
ジャズの巨匠:デイヴィッド・サンボーン追悼企画 拡大版
◎音の匠:スタジオ・サックス・プレイヤーの仕事
 トレヴァー・ローレンス(スティーヴィー・ワンダー、マービン・ゲイ、ザ・ローリング・ストーンズ)

◎インスト企画
・新素材リード最前線2024
・現行マウスピースでデイヴィッド・サンボーン・サウンドを再現!

◎奏法ノウハウ企画
・中村有里直伝!! ロングトーン徹底講座

◎付属CD&スコア連動企画(模範演奏&カラオケ)
・「GET BACK IN LOVE」山下達郎(ss)/演奏:伊勢賢治
「アメイジング・グレース」レゲエ・アレンジ(ts)/演奏:屋嘉一志
・「ウィール・ビー・トゥゲザー・アゲイン」(as/ts)/演奏:青柳 誠
・「バッハ 15インベンション 第15番 BWV 786」(as/ts)/演奏:門田”JAW”晃介

 
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