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本誌連動企画

DPA Microphones CORE4099の魅力を伊勢賢治に聞く

ナチュラルな音質で定評のある小型コンデンサー・マイクの最新モデル

派手にライブ・パフォーマンスしたいサックス奏者の強い味方となるコンタクト・マイク。近年はさまざまな選択肢からチョイスできる中で、特に注目を集めているのがDPA Microphonesの製品です。同社の4099を長年愛用してきた伊勢賢治さんは、今年から最新モデルCORE4099を導入。松任谷由実や矢沢永吉といったアーティストのサポートで活用しているという、その感想をお聞きしました。

● 撮影:言美 歩 ● 取材/文:西本 勲


以前のモデルよりレンジが広がって、存在感がさらに明確になりました。どんな現場でも安心して使えるマイクです。

DPAのマイクを使い始めた経緯は?
DPAが日本で出回るようになった初期のモデルから、もう10年くらい使っています。コンタクト・マイクは学生時代から使っているのですが、当時はフュージョンのカバーをずっとやっていたので、派手で埋もれない音を求めて、あるメーカーのマイクを使っていました。ただ、仕事でもっと幅広い音楽を演奏するようになって、オールラウンドなマイクを探していたときに出会ったのがDPAだったんです。

学生のころから自前のマイクを持っていたのですね。
ライブPAのバイト経験もあったので、マイクの重要性は認識していました。サックス自体は生楽器ですが、ライブでPAを使う時点で、マイクも含めて楽器だと思っています。そういう意味では、PAエンジニアもメンバーの一人という考え方ですね。音のニュアンスや空気感を共有しながら、マイクを通してPAさんにストレスを与えない音を出すところまでが自分の役目だと思っています。今は手元に小さいミキサーも用意して、曲や流れに合わせて音量やEQを調整したりもしています。

そんな伊勢さんが感じたDPAの特徴は?
以前使っていたメーカーのマイクはハイ上がりの音で、若干デジタルっぽい、ハイファイ過ぎる印象でしたが、DPAはそれをもう少しいなたくした感じで、良い意味で主張し過ぎない音。こちらが作った個性をそのまま出してくれるイメージです。どんなジャンルの仕事でも、これがあればどうにかなるし、10年使っていてトラブルもありません。今のモデルはケーブルが着脱式になっていますので、万が一トラブルがあった際も自分でケーブルが交換ができるので安心ですね。

そして、今年から新しいCORE4099を導入されたそうですね。
レンジがグンと広がっています。コンサートの現場によってはスタンド・マイクを立てることもあって、そういうマイクと比べるとDPAは若干ローが細かったんです。でもCORE4099は、もちろん上にもレンジが広がっているんですけど、けっこう下が広くなっていて、中域も太くなっているので、存在感がしっかりする印象があります。特に、アルトとソプラノではそれを顕著に感じますね。ライブ・レコーディングなどシビアな現場では、以前のモデルだと音が細いと言われたりすることもありましたが、CORE4099なら問題ありません。

幅広いメーカーのワイアレス・システムに対応しているのもDPAの特徴の1つですが、そうした使い勝手の良さもそのまま受け継いでいる?
そうですね。変換アダプターが充実しているのでどんな現場にも対応できるし、しかも純正だから確実で、安心できます。

最後に、コンタクト・マイクに関心を持つ読者にアドバイスをお願いします。
昔はこうしたマイクの選択肢が少なく、マイクのクセにこちらが合わせなければいけないところもありましたが、今は自分の出したい音に合ったマイクを選べる時代です。ぜひ、いろいろ試してみてほしいですね。そこでどんなマイクにするか迷ったら、オールラウンドなDPAを選ぶのが絶対にいいと思います。

■Profile 伊勢賢治[いせ・けんじ]MICA Music Laboratoryで作詞・作曲・編曲などを学び、サックスを土岐英史、藤陵雅裕に師事。音楽活動はサックスだけにとどまらず、管楽器全般、パーカッション、コーラス、キーボードなど多くのパートを担当。ユーティリティー・プレイヤーとして松任谷由美、矢沢永吉、乃木坂46、原田徳子、SATSUKI(ex.Zoo)、宇崎竜童、川中美幸などのライブやレコーディングに参加。演劇の演出やアーティストのプロデュースも手掛け、自身もシンガー・ソングライターとして活躍中。


■伊勢賢治のマイク・セッティング 

《アルト・サックス》
ベルと管体の間くらいを狙ってマイクをセット。“ベルを直接狙うと、余計な子音を拾ってしまいます。グースネックが、最初に決めた位置でしっかり止まってくれるのも大事なポイントですね”。伊勢はパンデイロなどの打楽器にもこのマイクを使うため、取り付けにはクランプマウントCM4099を用いている。

《ソプラノ・サックス》
ベルにまっすぐ向けないのはアルトと同様。“ソプラノは特に子音がストレートに飛んでくるし、キィを閉じるほど音が大きくなりますからね。曲によって、音量や音圧を稼ぎたいときは、あえて真ん中に向けることもあります”。

楽器への取り付けには、サックス/トランペット用クリップSTC4099(写真左/オープン価格)またはクランプマウントCM4099(写真右/オープン価格)を使用。4099-DC-1-199-Sサックス・セットは、高感度モデル4099-DC-1とサックス/トランペット用クリップSTC4099、ケーブル類がセットになったパッケージだ。

■幅広い楽器に活用できるデンマーク発の 超単一指向性マイク

DPA Lime

さまざまな楽器に取り付け可能な小型軽量のコンデンサー・マイク。最新モデルCORE4099ではミニチュア・カプセルのアンプ部を改良したことでひずみを最小限に抑え、より広大なダイナミックレンジを獲得。サックスをはじめ幅広い楽器に適した高感度モデル4099-DC-1と、トランペットなどに向いた低感度モデル4099-DC-2をラインナップしている。

d:vote  CORE4099シリーズ 4099-DC-1-199-S サックス・セットオープン価格 市場予想価格:55,000円前後(税別)

SPECIFICTIONS  形式:コンデンサー型 指向特性:超単一指向性 周波数特性:80〜15,000Hz(±2dB)感度:−44dB re 1V/Pa(±3dB) 最大音圧レベル:142dB(THD 1%) 出力インピーダンス:100Ω 寸法:5.4×30mm(マイク部) 重量:約27g(マイク部) グースネック長:140mm

問い合わせ先:ヒビノインターサウンド株式会社
電話:Tel 03-5783-3880
          (月〜金曜/9:30〜18:00 祝祭日および指定休日除く)
Web : https://www.hibino-intersound.co.jp/dpa_microphones/

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・「GET BACK IN LOVE」山下達郎(ss)/演奏:伊勢賢治
「アメイジング・グレース」レゲエ・アレンジ(ts)/演奏:屋嘉一志
・「ウィール・ビー・トゥゲザー・アゲイン」(as/ts)/演奏:青柳 誠
・「バッハ 15インベンション 第15番 BWV 786」(as/ts)/演奏:門田”JAW”晃介

 
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