動画コンテスト「サックス・デュオで奏でるスタンダード・ジャズ」動画発表会にたくさんのご応募をいただきましてありがとうございました。関係者による厳正な審査により入賞作品が決定しましたので、ここに審査結果を発表させていただきます。
【最優秀賞】
●中井 伶さん(AS & TS/サックス歴18年)
■エントリー曲:二人でお茶を
■自己PR/応募動画の聴きどころ
音楽大学でクラシック・サックスを勉強し、ジャズを勉強中です。コロナ渦ではじめた宅録、動画編集を頑張って作ってみました。友人に教えてもらいMIXにも挑戦してみました。まだまだ音楽面、編集面、至らない点は多いですが、皆様にご覧いただき、この企画を盛り上げる一員になれたら幸いです。
審査員:青柳誠コメント
ステキな動画をありがとうございます。サックスのテクニックはもちろんですが、アーティキュレーションも明確で滑舌良く、フレーズの歌い方や表情のつけ方もアレンジの意図を十分に理解していただいた上で、さらに中井さんの新しい解釈をプラスしての完成度高い演奏に拍手です!!!
【青柳誠 ハッピー・オーラ賞】
●佐々木元気さん(AS/サックス歴13年) & 佐々木奈々さん(TS/サックス歴11年)
■エントリー曲:聖者の行進
■自己PR/応募動画の聴きどころ
ふたりで息を合わせて楽しく演奏しました。広い会場で、マイクを通さない演奏だったので、2人でも迫力あるステージを目指しました。この雑誌のデュオを一緒に演奏をして、お互いのフィーリングが合うのを感じ、結婚しました。いまでも毎号デュオ譜面を2人で演奏し、楽しんでいます。このデュオが結婚のきっかけとなったので、とても感謝しています。ありがとうございます!
審査員:青柳誠コメント
なんと! このデュオ演奏がきっかけでご結婚!!! おめでとうございます。アレンジャーとしても大変嬉しく思います。元気さんの安定感あるスウィング感がこの曲全体のイメージをいい形にして完成度を高めています。元気さんのスウィング感に上手に絡んでいく奈々さんのテナーもいい味を出していて、まさに2人のアンサンブルがここに完成しています。お幸せに!!!
●新井佳代子さん(AS/サックス歴10年) & 丹治公宏さん(TS/サックス歴8年)
■エントリー曲:二人でお茶を
■自己PR/応募動画の聴きどころ
ミスなく演奏することはできなかったのですが、久しぶりにリモートではなく2人で演奏をできた喜びが伝わればと思います。
審査員:青柳誠コメント
2人とも相手の音を聴きすぎるでもなく聴かなすぎないでもなく、ちょうどいい感じで聴き合えていて、いいアンサンブルが成立していると思います。2人ともきれいな音色なんですが、せっかくならもっとダイナミクスや音色の変化を思い切ってつけて、アーティキュレーションもはっきりと表現するようにすることで演奏にメリハリが付くと思います。これは長年練習しないとできないことではなくいますぐ実行してすぐに効果が出ることですので、やらないと損です! そしてそういう良い癖をつけることによって、日ごろの演奏がキラキラしてくるはずです。楽しみですね。
●佐藤広理さん(TS/サックス歴20年) & 丹治公宏さん(BS/サックス歴16年) & 真船駿さん(DS)
■エントリー曲:いつか王子様が
■自己PR/応募動画の聴きどころ
サックス2本+ドラムの編成の『2Baris』というユニットを組んでいます。今回、動画コンテストの企画を知って、自分たちにピッタリの企画だなと思い、応募しました。ドラムが入ったことにより、リズムの変化が見えやすくなったので、転調後は少しテンポをあげたジャズ・ワルツにしてみました。
審査員:青柳誠コメント
テナーとバリトンなので4度か5度下げてくるかと思いきや、なんとオクターブ下げで来ましたね! 両方の楽器の低音部の魅力を引き出すという効果が感じられますし、またそれができるテクニックの裏付けもあり、低い2音間でできるハーモニーもクリアに聴こえて気持ちよかったです。サックス2本のバランスもアレンジャーの意図をしっかりつかんでくれていてウレシイです。完成度の高いサックス2人のアンサンブルに、さらにドラムが入って新しいサウンドに進化! せっかくならMIXでもっとドラムが聴こえてもよかったですね。
●日吉玲子さん(TS/サックス歴5年)& 鍵盤ハーモニカ、電子ピアノ(リズム、ベース、ピアノ)の全パートをひとりで演奏
■エントリー曲:All the Things You Are
■自己PR/応募動画の聴きどころ
音楽教室の発表会で演奏したくて、伴奏なども自分で(かなり適当に)作って準備しておりましたが、中止になってしまいました。鍵盤ハーモニカは思い付きで使ってみましたが、テナーサックスに意外と合いましたので、紹介させていただきたく、応募しました。青柳さんはピアニストなので、あまりに適当な伴奏に呆れられるかもしれませんが、サックスだけのDuoだとアラが出そうだったので、いろいろ重ねてみました。楽譜に合わせて他のパートを作っていく作業も、とても楽しかったです。今後も素敵な曲の楽譜を掲載していただけるのを楽しみにしております!
審査員:青柳誠コメント
おもしろい企画ですね。コロナをきっかけに宅録やひとり作品を手掛ける人が多くなり、その楽しさにハマったり腕を上げたりとみなさん様々だと思います。「サックス・ワールド」の企画ですから、もう少しサックスをメイン・キャラにしてほしかったと言う気持ちもありますが、ぬいぐるみがテナー・サックスのおもちゃを持っていたので良しとしましょう(笑)。ピアニカはメインの部分と裏方に回る部分のバランスがうまく取れていると思いますが、テナーの出るところはもっと出ても良かったかなと思います。もし自信がなかったからなのか、テナーを先に録ったからなのかでしょうか? これは音量だけでなく意識の問題なのかもしれません。元はサックス2本のアレンジですが、こうやって遊んでいただくのも大歓迎です!
●佐藤広理さん(AS/サックス歴20年) &荒井薫さん( トロンボーン/トロンボーン歴26年)
■エントリー曲:Someone to Watch Over Me
■自己PR/応募動画の聴きどころ
以前2Barisというユニットで応募したものです。YouTubeの企画でトロンボーンの方と演奏する機会があり、要項には1団体1動画までと記載があったので、メンバーが違えば大丈夫かと思い、せっかくなので応募しました。テナー・パートをトロンボーンで演奏したため、跳躍などの部分が金管にはかなり難易度が高くなってしまいましたが、なんとか形にはなったと思っています。
審査員:青柳誠コメント
アレンジャーとしてはサックスで映えるフレーズを書いているつもりなので、トロンボーンだとかなり難しいかなと思いましたが、よくここまで表現してくれました。今回はコンテストなので書かれた音符はそのままにというシバリも感じたと思いますが、また次回演奏する機会があればトロンボーン・パートは荒井さんが吹きやすいように音も歌い方も変えていっていいと思います。こういうのも楽しいですね。
●金子友子さん(AS/サックス歴19年) & 伊藤悠子さん(TS/サックス歴19年)
■エントリー曲:聖者の行進
■自己PR/応募動画の聴きどころ
こういった事にトライするのが初めてで緊張感が全面に漂ってしまいましたが、それも含めて演奏していて楽しかったです。それが伝わるかどうか………(笑)。
審査員:青柳誠コメント
2人ともジャズのアーティキュレーションがしっかり身についていますので、スウィング感を感じます。また息の合った2人のスウィング感が途切れることなく曲の最後まで流れていることが、すごく好印象です。一つだけアドバイスするとしたら、音符のタイミングとピッチをまだまだ精密にできるのではないかと言うことです。どちらもだいたいOKで楽しい演奏にはなっているのですが、次のステップに行くためにはタイミングとピッチの精度を個人レベルでもう少し上げて、さらに2人のアンサンブルレベルでも少し上げて、演奏してみてください。ピッチはメーターで合わせるのではなく、自分の耳で自分の音が一番気持ちよくなる音程を自分で探すのです。またできればそれを録音して客観的に聴いてみて、それでも本当に気持ちいいかどうか確かめてみることです。
●久田美佳子さん(AS & TS/サックス歴17年)
■エントリー曲:二人でお茶を
■自己PR/応募動画の聴きどころ
サックスSATB、フルート、クラリネットを吹いています。普段はビッグバンドやサックス・アンサンブル、バンドのホーン・セクションなどで吹いています。昨年の自粛期間中から演奏動画を作り始めました。
審査員:青柳誠コメント
安定したプレイで、完成度の高い一人アンサンブルになっていますね。動画編集もご自分でされたのでしょうか? 音楽的に前に出て欲しいパートがしっかり画像でも大きくなっていて、アレンジの流れと全体像をしっかり把握していただいていると思われます。2人で演奏する場合は相手の音を聴いて自分の音が出せるので自分の位置がわかりやすいですが、一人多重録音のアンサンブルの特に“一人目”をやるとき、相手の音の存在を想像してそれに対して自分の音量や表情を決める必要があるので、大変難しくなりますよね。それは試行錯誤の連続にもなりますが、実際のリアルなアンサンブルをやるときにも反映できる音楽的な大事な要素でもあり、なによりその追求心が多重録音にハマっていく楽しみですから、これからもどんどん動画作品を作って下さい!
●今田富美子さん(AS/サックス歴39年) & 関根和宏さん(AS/サックス歴49年)
■エントリー曲:My Foolish Heart
■自己PR/応募動画の聴きどころ
アルト、テナーとも同じビンテージ楽器のBuescher True Toneを使ってMy Foolish Heartを演奏してみました。
審査員:青柳誠コメント
ムーディーな演奏ですが、個人練習、お二人でのアンサンブルとかなりお稽古を積まれたとお見受けします。大人のジャズを感じることができるアレンジの解釈で、思わずニヤリとしてイエイと言いたくなります。フレーズを一つひとつ大切に噛みしめていただいているのだと思います。ピッチの難しいビンテージ楽器をあえて使用されていると思いますが、関根さんの場合、正確なピッチを取りやすくするためには2人の譜面に書かれてはいないけれども鳴っているはずの隠れた音を探り当て明確にイメージすると良いと思います。それができれば単音でピッチ確認する必要もなく、自然に適切なピッチで楽器が鳴ってくれるはずです。動画では演奏終了後の一瞬の笑顔がステキでした!
審査員総評:青柳誠
「サックス・デュオで奏でるスタンダードジャズ」動画コンテストにご応募いただいたみなさま、本当にありがとうございます。まさか、人と一緒に演奏することが制限されるこんな時代になるとはだれも想像しなかったですが、そんな中工夫して練習を重ね、私がアレンジしたものをたくさんの方に楽しんでいただいていることが実感できて本当に嬉しかったですし、さらにこのシリーズを続けていく力強い応援をいただいた気がして、もう自分が一番満足してしまったかもしれません(笑)。このような企画をまた実施できたらいいなと思っていますので、ぜひ本連載を今後ともどうぞよろしくお願いします。
■青柳 誠
Profile
1982年、“ナニワエキスプレス”のサックス&キーボード奏者としてデビュー。ピアニストとしてのリーダー作、“EQ”、“森”などでも多くの作品をリリース。またサウンド・プロデュースやアレンジ、ツアー・サポートとして、多くのアーティスト、イベント、テレビ番組の音楽にも携わっている。
●最優秀賞 賞品
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●青柳誠 ハッピー・オーラ賞 賞品
■青柳 誠オリジナル・グッズ・セット
・クリアファイル(「夜空に浮かぶピアノの森」、「月とおんぴー」を各2枚)
・切手(「テナー・サックス」、「にこにこおんぴー」を各1枚)をプレゼントいたします。