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本誌連動企画

Takeshi Ito (T-SQUARE)meets Roland Aerophone Pro AE-30 ウインドシンセの第一人者 伊東たけし(T-SQUARE)が エアロフォンのプロ向けフラッグシップ・モデルをいち早く試奏!

エアロフォン待望のプロフェッショナル・モデルの実力を徹底検証!

サックスに準じたキィ・ホタン配置の採用、アコースティック楽器の独特なリアルなニュアンスまでを再現可能なSuperNATURALアコースティック音源による表現力の高さ、本体にスピーカーを内蔵することで面倒なアンプへの接続を不要にし、電子楽器ながら単体の楽器として完結させるなど、これまでの製品とは一線を画するコンセプトが人気を呼び、ウインドシンセの新たな市場を切り開いたエアロフォンAE-10。その後エアロフォンGO AE-05、エアロフォンmini AE-01と普及モデルでラインナップを拡充し、さらに身近な電子吹奏楽器として多くのユーザーの支持を得ているが、AE-10の発表時から望まれていたプロフェッショナルに向けたフラッグシップ・モデルがいよいよ発表となった。今回は完成したばかりのエアロフォン・プロAE-30をだれしもがウインドシンセの第一人者として認めるT-SQUARE 伊東たけしに試奏していたき、プロ・モデルとしての実力を評価いただいた。 

 取材・文:サックス・ワールド編集部  撮影:言美歩


Point 1
 エアロフォン・プロの内蔵音源を伊東たけしがチェック!

突き詰めてみようかなっていう
気にさせられる楽器

●今日はエアロフォン・プロAE-30(以下AE-30)を試奏して頂きましたが、最初にどのような印象を持たれましたか?
●これまでのウインドシンセとは見た目がだいぶ違うよね(笑)。形はカッコイイんじゃないですか。作りもすごく奇麗だし、操作性もどこに何があるかすごく分かりやすい。このAE-30が自分の中で使えるなと思ったのは、まずパラメーターが充実してること。操作性についても、ブレス・コントロールにしてもここまでできるといいなっていうのが全部入ってる。それとダイナミクスも、いろいろ選べるようになっていて、さらに細かくいじれるようにもなっていると思うので、その辺のあり方はすごくいい。ここまでできるようになったんだって。音色エディットはアプリを使わなくても本体の方にも有機ELディスプレイがあって操作子がある程度付いてるから、そこで十分パラメーターがいじれるからね。
●内蔵の音色をいろいろ試していただきましたが、伊東さんが気になったもの、これは使ってみたいなっていうものはありましたか?
●ウインドシンセ系はどこかで聴いたことのある馴染みのある音がいろいろ入っていましたね(笑)。あとは、ブラス系が僕は好みなんだけど、その辺がすごく充実してるし、あとパン・フルートとかエスニック系なんかもすごくを特徴をつかんでる。音色はいっぱい入ってるでしょう?
●そうですね、AE-30には305音色が内蔵されています。
●使いきれないぐらい入ってる(笑)。その中で特に気に入ったのがハーマン・ミュート。だれでもマイルス・デイヴィスになれる(笑)。あとハーモニカも本当にいい音だと思う。いわゆるシンセ・リード的な音色も、かなりバリエーションが入っていて、そういう音色で演奏したときも、鍵盤楽器とは違う、ブレスでダイナミクスをつけた表現ができる。フィルターの効きもすごくいいし、息圧との関係の調整もすごくよくできてたから、これはいいなって。だからそこに特化して考えなきゃいけないんだけど、そこは僕も悩みどころ。これ(AE-30)はこれ、僕の(EWI1000&EWI2000)は僕のっていう別物として考えないといけないと思う。ただ、そうやって考えると僕も意固地なのか頑固なのか、こだわりがどうしてもアナログにいっちゃうんで、これまでは切り替えるのはなかなか難しかったんだけど、今日AE-30を初めて吹いてみて、これはこれで、突き詰めてみようかなっていう気にさせられる楽器ですね。

キーボード奏者ができることを
AE-30でかなり網羅できる

●伊東さんだったら、このAE-30をどのように使ってみたいですか?
●可能性は無限にあるんじゃないですか。音に自分がインスパイアされて、この音だからどう吹こうかということなんで。その特性に合ったフレージングとか、その楽器の特性が出るレンジってある程度限られてるんですよ、特に管楽器の場合はね。そういう意味では、AE-30はそれ以上の音域レンジを持っているので、生とはまた違う味わいで演奏できたりする。それはそれでアリだし、逆にレンジは7オクターブもあるから全然違う楽器になっていくし。
●伊東さんはウインドシンセでは7オクターブ・フルに使われるんですか?
●基本はその音色はやっぱりここまでっていうのが自分の中であって、それ以上いけるんだけどいっちゃだめだめって自分を抑えています。
●その楽器の美味しい音域で吹くということですね。
●ただちょっと、驚かしをかけるときに高いところにいったり、ものすごく低いところにいったりすることはあるよね。
●ウィンドシンセならでの使い方ですね。
●ならではだね。AE-30は低音域でプレイすればベーシストにもなれるよね。
●そういった意味では、今回のAE-30はドラム音色が10キットも内蔵されています。
●ある意味キーボード奏者ができることを、AE-30でかなり網羅できる。鍵盤奏者が10本の指で弾くところを、こっちは単音でしか弾けないという違いはあるけど。でも、AE-30はコードをアサインして吹けるようになっているんでしょ? 事前にコード進行に沿ってアサインしておけば、例えばキーボード奏者がピアノでソロを取っていて後ろでパッドが欲しい場合、通常はキーボーディストがそれも同時に一生懸命弾きながらソロもやったりするけど、それを僕がカバーしてあげることもできる。管楽器奏者がいるバンドだったら、そういう使い方もできるね。
●ブラス・セクションを一人で再現することもできますよね。
●ブラス・セクションも、楽器の編成をこうやって重ねてとか、ハーモニーなんかをもっと緻密に事前にアサインしておいたらいいですよね。息で演奏している分、抑揚については鍵盤よりもすごくダイナミクスが付けられるから、よりブラス・セクションらしいことができると思います。僕はサックス奏者だけど、金管楽器奏者がどういう奏法をするかはある程度分かっているつもりなので、自分がブラスを吹くつもりで吹けば十分リアルに演奏できる。AE-30のパラメーターは充実しているので、できる人だったら相当マニピュレートは強力にできるんじゃないかな。無限大だよね。自分の好きな感じの音にどんどん作りこんでいけば、その人らしさが出てくると思う。
●さきほど試奏していただいた後に、T-SQUAREのライブで使ってみようかな?とお話をされていましたが。
●今いったような使い方ですね。鍵盤奏者はたいてい一生懸命いろんなパートをやっているけど、そういう部分をAE-30でやってみる、とか。昔ながらのリリコンを使っていたころにはそれをやったりもしてたんですよ。それこそサンプラーを使って、トランペットのダウン、ブラス・セクションがバーっと鳴ったりするのを再現したり、サンプルをうまく使ってやるというのを昔はやってました。
●AE-30をライブに導入することで、手持ち無沙汰でなくなるというメリットがありますね。
●それはいいんだけどね、休めるから。サックスは休めないときついよ(笑)。
●試奏のあとの写真撮影中もAE-30の内蔵スピーカー(写真1)で音を出していろんな音色をテストされてましたね。
●ちっちゃいスピーカーで聴いても、僕らは気持ちいいか悪いかって判断できるんですよ。ちゃんと主張してる部分があって、ここはしっかりしてるっていうのがあると、どんなにスピーカーが小さかろうがでかかろうが分かる。そういう意味でもこのAE-30は合格(笑)。


写真1:
エアロフォン・プロに内蔵されたスピーカー。演奏者側に向けて計2台が左右にステレオで配置されており、本体だけで演奏することが可能


Point 2
 エアロフォン・プロの演奏性/操作性を伊東たけしがチェック!

サム・フックに重心をかけれは
ストラップなしで大丈夫

●次にAE-30の演奏性についてお聞きしたいのですが、エアロフォンはキィ・ボタンを採用してサックスと同じ運指が採用されています。
●サックスと同じ運指でサイド・キィもついてるから、とっつきやすいかもしれないよね。
●伊東さんはすんなり演奏できましたか?
●サックスと一緒だからね。指のポジションがやっぱり自分の楽器とは違うので、そこら辺をちゃんと探ってそこに指がいくようにトレーニングすれば、そこで慣れる範囲で同じサックスとして演奏できるというのはある。あと、普通サックスだとオクターブ・キィを押してからサイド・キィにいくけど、AE-30はオクターブ・キィを押さなくてもサイド・キィがちゃんと反応するから、そういう意味では変え指としてそれが使えるというのは便利かもしれない。
●演奏したときの楽器のバランスはいかがでしたか?
●最初にストラップを付けて演奏したときは落ち着かない感じがあったんだけど、ストラップを付けないで持ったら、サム・フックに完全にストンと重さで持っていくことができた。ソプラノ・サックスよりもAE-30は軽量なので、サム・フックに重心をかけれはバランスは大丈夫。
●ベンドをコントロールするサム・レバー(写真2-①)の操作性は?
●ちょっと慣れが必要だけど、親指のホールドの重さもそんなキツくないから。ストラップって意外と面倒くさいんだよ。この楽器はストラップを付けないでもサム・レストで親指をホールドして吹ける。そこで指が楽に動くように、自分の好ポジションを作ってあげれば、ストラップなしで演奏できちゃう。それはすごい利点かなと思います。
●意外な使い方というか、設計者は考えてなかったことだと思います。
●サム・レストに乗っけたら、そこでホールド感がしっかりあるので。ただ、気をつけないと、下でグロウ・トーンとかを出す用のボタン(サム・パッド/写真2-②)があるからついつい押し気味になったりするんで。そこだけちょっと浮かした状態で、親指をリラックスさせて。ただ、ベンダー(サム・レバー)が僕にはちょっと遠いんで、もう少し近くだといい。今日はまだ設定が基本のイニシャルのものでやってたから、設定を変えてちょっとで反応してくれるなら多分ベンダーが遠くても大丈夫だと思います。


写真2:
親指を引っかけて楽器を位置を固定するサム・フック左横に配置されたサム・レバーは、上下の動きでベンド・アップ/ダウン(ピッチの上下)をコントロール(さまざまな機能やパラメーターを割り当てることも可能)。サム・フックの下部のサム・パッドはサックスのグロウル奏法などをアサイン/コントロール可能

息でコントロールすることで
音楽として大切な抑揚が表現できる

●キィ・ボタン(写真4)を押す感触はいかがでしょうか?
●すごくカチッとくる。触ってて勝手に押す感じじゃなくて、ストンと落ちる感覚。それで落ちたら音が鳴るようになってるから、慣れれば力が抜けて指が動かせるようになる気がします。僕がEWIを最初に吹いたときは、本当に吹けなかったからね。タッチ・センサーに慣れるのは大変だった。指を置けないから。サックスでは指をキィの近くに置くことが基本、大切だったところが、EWIは指を置いちゃいけない、開いておかなきゃいけない。指を開くことを意識してタッチ・センサーに触らないようにするのは、すごく苦労した。そういう意味では、エアロフォンはちゃんとアクションがある。ストロークに関しては、いろいろなやり方があると思うけど、ちょうどいいところにあると思うんだよね。ある瞬間にストンって入って、入ったらちゃんとオンになってるっていうのを脳が理解できるから。
●最初に試奏して頂いたときは、ストロークに違和感があったようにお目受けしましたが。
●そう。というのは、キィを押すたびにカコッて入る感じが、最初は“大丈夫かな?”って思ったんだけど、吹いてるうちに慣れてきてだんだん気にならなくなった。サイド・キィの位置も最初はちょっと戸惑ったりしたけど、この楽器はここの位置にキィがあるっていうのが明快に見えてくれば指がいくようになる。数十分演奏してこのキィに慣れたので、そういう意味では、今までのウインドシンセではなかったことかな。リリコンを最初に持ったとき、今でも覚えてるけどキィの部分は接点がむき出しなわけだ。そこをカチカチカチカチやらなきゃいけないのね。あれも気持ち悪かったね(笑)。でも慣れるからね。だから、AE-30はサックスとかフルートの人が使うんだろうなと思うんだけど、同じような意識でこの楽器をとらえない方がいい。これはこれだっていうところで考えて。息の使い方も、サックスと同じような使い方をしてもリードは振動してないから。入れる息の量も、もしかしたらリコーダー・レベルで演奏した方がいいかもしれない。サックスと同じような圧を求めてやるようなことは考えない方がいいと思う。歌にしても声が振動してるから、そこをわーって響かせたり、抜いたりとかいろいろできるわけじゃないですか。でもそういうことを考えると、こういう楽器は絶対吹けないから。
●そういう意味でも、ウインドシンセを演奏するにはサックスとは認識を変えるのが大事なんでしょうね。
●そう思います。AE-30の場合は、マウスピースの部分は振動していないので全く音がない。サックスのように響くものがないから。楽器の中のコンピューター・チップを電気的にどれだけ震わせてやるかっていうような気持ちでやるというか。振動させるものはどこにあるっていうのをちゃんと考えないといい音は出ない。電子楽器は簡単にそれなりの音は出るけど、それを自分なりに吹けるようにするには、ここを振動させてるんだっていう息の使い方を考えないと。AE-30の中のDSPチップを振動させているんだっていう、そこですよね。オシレーターの波形は何を使っていて、この音が出るんだっていうのが、DSPチップにあるわけだから。その音をフィルターでどういうふうに変化させるかを、フィルターの回路に自分の息を注ぎ込むことでコンピューターで一番良くない不安定要素をぶち込む。それが一番大切なところだよね。特に息を使うウインドシンセっていうのは、オシロスコープで見たら、ものすごい情報量が一気に同時にわーっと表示されるじゃない? 鍵盤はオン/オフだけだから、叩いちゃったらそのあと何もできないじゃないですか。シンセサイザーの場合はアフター・タッチって機能はあるけど、それだってたかだか知れてる。ても、息の場合は、鍵盤よりもものすごいことができるから。AE-30は、立ち上がりに対するプレッシャーはこのくらいとか、その後のカーブも全部設定が変えられるので、ある程度の強さにしてあげると、フィルターの閉じたところから開いたところまで息でコントロールできるわけじゃないですか。それが結果“抑揚”という音楽として大切な表現になってくるんです。


写真3:
オクターブ・キィはサム・レストを挟んで上下2つのボタンの組み合わせで、±2オクターブと±3オクターブに設定でき、最大7オクターブの音域をコントロール可能


写真4:
演奏キィはサックスと同じ運指を採用。替え指やフラジオ運指にも対応し、運指を自分好みにエディットすることもできる


Point 3
 エアロフォン・プロの可能性を伊東たけしがチェック!

デジタルではアナログ時代とは違う
クリエーションができる

●伊東さんは、リリコンからスタートして歴代のウインドシンセをいろいろ試してこられたと思いますが、今回AE-30を試奏いただいて可能性を感じたのはどういうところでしょうか?
●日進月歩で、デジタル製品ってすごい勢いでスペックが良くなっていますよね。コンピューターの処理速度が速くなって。今の CD がハイレゾになって、アナログが良かった人でも、それを聴いたらちょっとびっくりするぐらいの音になってる。シンセの世界でも同じように進化していると思う。アナログのときはできることが限られてたっていうかね、シンプルでそれはそれでいいんだけど。でもデジタルだとものすごく細かいところまでエディットすることができるし、限りなく自分の欲しいものに近づけることが、アナログのときよりも可能だと思うんだ。デジタルで処理されるものの中で、アナログの時代とは違うクリエーションができるっていうかね。AE-30にはそういう楽器になってもらいたいですね。僕が今使ってるのは、初期のEWI。僕は古風な人間というか、やっぱりこれがいいよねっていうのがあって。みんなが“本物のモーグ・シンセサイザーはやっぱりすごいな”とか言うように、それはそれでアナログ・シンセの良さがある。でもデジタルになってこれまでは鍵盤楽器だけだったのが、こうやってウインドシンセもデジタルでこれだけのことができるようになってくると、その音を使った今までにない何か新しい表現ができるプレイヤーが出てくるぐらいの、すごいことを期待しています。それをできる可能性を持ったこのAE-30を今回吹いてみて、やっぱりこれまでのデジタルのいいところを凝縮してると思うから、あとは使いこなして、惚れ込んで、じっくり向かい合ってやれば、新しい音楽とまでは言わないけど、“え、この音は何?”っていうような、心に刺さる音が出せるかもしれない。デジタルって、なんかちょっと冷たいイメージがあったり、結局アナログの方がいいよねって言われがちだけど、もうここまで来たら、逆に、“こんなことできねーだろ”っていうようなことが、すごく期待できるし、可能性が見えてくるかな。
●シミュレーションじゃなく、新しい表現ということですよね。
●そう。今のデジタルだと手っ取り早く、それこそだれそれのトランペットの音とかは簡単に作れると思う。でも、本当はそういうリアルな音はすぐ作れるんだけど、もしかしたらちょっと手前ぐらいにしといて、その後は吹き手に任せて作らせるみたいな、そのぐらいのことをやると逆に何か面白いサウンドが出てくる可能性もある。全部を最初からあてがってしまって、“ほら便利でしょう”っていうお手軽なデジタルの楽器とは違うっていうこと。デジタルは、数十年前ぐらいはプログラム(音色の記憶)ができるとか、便利なものっていうところが強かったから。今は、そういうことでは全くないということですよね。要はその音がどう感じられるかってことだから。デジタルのウインドシンセだから、心に刺さるようなバラードはダメだっていうことには決してなってほしくないし。そういうのを吹いたときに、“わーなんか生楽器もいいけど、これはこれでなんかグッとくる”っていう、そういうものはAE-30なら十分作れると思う。そういうのをすごく楽しみにしています。

ダイナミクスはアナログよりも
AE-30の方がすごくつく

●最後にこれからAE-30を使ってみたいって人に向けて、こんな使い方ができるんじゃないかという提案を頂だけますでしょうか。
●さっき言ったことと重複するけど、サックス奏者はステージに立ってるときは休みが多いから、キーボードのサポートをこの楽器でできるんじゃないかな。僕のEWIじゃできないから。でもこの楽器だったら、ハーモニーも出せるし、いろんなことができる。バック・リフを入れてあげたり、バックでパッド的なものを入れてあげたりもできる。
●キーボード・プレイヤーも喜びますね。
●喜ぶね。手元でパッパッとプログラムを切り替えれば、これ1本ですぐにフロントマンとしてもリード・パートも演奏できるわけだから。基本的にはソロ楽器、ソリストとしての部分を1つ持って、それ以外の部分でストリングスやブラスっていうアンサンブル系の音色がこの楽器だったら瞬時に替えて使える。それこそパーカッションの代わりもできるわけだし。でもなんでもできるからって、それは陳腐な話だからな(笑)。あとは、明らかにアナログのシンセよりは、すごいレンジ、音の幅がある。さっき吹いてみて分かったんだけど、ダイナミクスはアナログよりもAE-30の方がすごくつくんですよ。めちゃくちゃつく。だからその部分はAE-30に期待したいなって。だからこそ僕の好きな音が1個見つかるといいなっていうのを、吹いてて思った。アナログはやっぱりレンジが狭いんですよ。振れ幅に限界がある。でもそこが逆にいいとこだったりするんですが。でも、AE-30にはそれ以上のものすごいダイナミクスがあって、いろんな部分でレンジがすごく広く取れるので、その辺をかなり使いこなせれば、“参りました”って感じになると思う。ウインドシンセの難しいところって、息を使うからなんですよ。鍵盤だったら押すだけで表現できるからいいけど、こっちは息を使うから、フィルターのどの部分をどのぐらいいじるとかの調整によって全部変わっちゃうんで。息を使ったときにシンセが美味しく鳴らせるってように、これからエアロフォンを使う人にはどんどん深く探ってもらって、開発エンジニアの人を驚かすようなことをやってもらいたいですね。


Profile:伊東たけし[いとう・たけし]
1954年生まれ。福岡県出身。大学在学中よりソロ・サックス・プレイヤーとして活動する傍ら、学生ビッグバンドに加入し、コンサート・マスターを務める。1977年にTHE SQUARE(現T-SQUARE)に加入、1978年にプロ・デビューを飾る。ウインドシンセのパイオニアとしてその可能性を追求。1984年に「サントリーホワイト」のCMに出演。バンドの人気を決定的なものにする。1991年にT-SQUAREを退団し、ソロ活動を始める。2000年にT-SQUAREに復帰。

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Roland Aerophone Pro AE-30

主な仕様

●キー配列 :サキソフォン互換キィ配列 ●音源:ZEN-Core 、 SuperNATURAL アコースティック ●音色数 :プリセット・シーン:305 、プリセット・トーン: 318 、プリセット・ドラムキット:10、ユーザー・シーン:600 、ユーザー・トーン: 512 ●エフェクト:マルチ・エフェクト、コーラス、ディレイ、リバーブ ●コントローラー:ブレス・センサー、バイト・センサー、演奏キィ、オクターブ・キィ 、シーン・ボタン、メニュー・ボタン、サム・レバー 、サム・パッド、 S1/S2 ボタン ●Bluetooth ® :Bluetooth 標準規格 Ver 4.2・対応プロファイル:A2DP (オーディオ)、GATT MIDI over Bluetooth Low Energy・対応コーデック:SBC SCMS T 方式によるコンテンツ保護に対応) ●ディスプレイ:グラフィックOLED 128 × 32 ドット ●接続端子 :PHONES端子 (ステレオミニタイプ)、 OUTPUT 端子(ステレオ標準タイプ)、 USB COMPUTER 端子(Type C 、 AUDIO /MIDI )、 MIDI(IN/OUT )端子、 DC IN 端子 ●内蔵スピーカー:2.8cm×2(1.5W ×2) ●電源 ACアダプター(付属)ニッケル水素電池単3 形(別売) × 6●消費電流 :915mA ●連続使用時の電池の寿命 :ニッケル水素電池:約6 時間(容量 1,900mAh 使用時)※使用状態によって異なります。※マンガン乾電池、アルカリ乾電池は使用不可 ●外形寸法 :133(幅 )× 84 (奥行) × 687 (高さ) mm●質量:1,140g(電池含む) ●付属品:取扱説明書、保証証、ローランド・ユーザー登録カード、ACアダプター、マウスピースキャップ、バンド、サムフック・カバー(2 タイプ)、ウォーター・プロテクター、専用ハンドキャリー・バッグ、USBケーブル( Type C Type A) ●別売品:交換用マウスピース:OP-AE05MPH ※仕様およびデザインは改良のため予告なく変更することがあります。

問い合わせ先:ローランドお客様相談センター
電話:050-3101-2555 
Web :https://www.roland.com/jp/categories/synthesizers/digital_wind_instrument/

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2024年6月13日発売

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