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本誌連動企画

ローランドが提案するデジタル・ウィンド楽器 エアロフォンの楽しみ方③ Aerophone × 米澤美玖

とにかく軽くて吹きやすいのでプレイヤーにいろんな自由を与えてくれる。
良い音色がたくさん入っているから発想の幅も広がります。米澤美玖

電子楽器のローランドが管楽器プレイヤーに提案する全く新しいコンセプトのデジタル・ウインド楽器“エアロフォン”。すでに各方面で話題となっているこの楽器を、女性サックス・プレイヤー米澤美玖さんがいち早く導入。5月に発売した2ndアルバム『Landscape』の中の1曲で、エアロフォンを使った国内初のレコーディングを敢行している。さらに、そのレコーディングは入手2日後に行われたというから驚きだ。現在はライブでもエアロフォンを活用している彼女に、その魅力を尋ねてみた。

取材/文:西本 勲 撮影:言美 歩(製品写真/ライブ写真を除く) 

指の感覚がサックスと同じなので すぐに慣れることができました

● もともとウインド・シンセの経験はあったのですか?
● そもそもウインド・シンセって楽しそうだし、ずっと練習できるので興味はありました。あるイベントでヤマハのWXを吹かせていただいたのですが、指の感覚がサックスと違ったので、全く別の楽器という感じでかなり苦戦したのを覚えています。EWIは何回か試させてもらった程度で、私はやっぱりタッチセンサーよりしっかり押さえるキィの方が好きですね。そんな中、最初に持った瞬間から一番しっくりきたのがエアロフォンでした。

● まず、どこに魅力を感じましたか?
● とにかく軽いところ。私は小学3年生からずっとテナー・サックスを吹いていて、体もそんなに大きくないので今でもテナーは重いんですよ。ライブのパフォーマンスでベル・アップしたり、さらに動いたりするのはかなりキツくて、いつも苦しい表情になっちゃう(笑)。その点、エアロフォンは軽いし、息もそれほど使わない設定でも吹けるから、集中力が続くし、いろんな余裕が生まれるんです。

● それにしても、手に入れて2日後にレコーディングで使ったというのはすごいですね。
● エアロフォンを使った「Ancient River」という曲は、もともと打ち込みのデモでこういう感じの音が入っていて、レコーディングではソプラノ・サックスを使う予定だったんですけど、ちょうどいいタイミングでエアロフォンが発売されたので、だったら使っちゃおうと。“明後日レコーディングなのに?”って思いましたけど(笑)。エアロフォンは指の感覚がサックスと同じなので、慣れるのは早かったです。それに夜でも練習できるから、かなり吹き倒しました。だから2日後でもレコーディングできたんだと思います(笑)。

● 楽曲ではパンフルートとハーモニカの音色を使っていますね。
● 音色選びはけっこう悩みました。いい音がいっぱい内蔵されているので、聴き比べているうちに気がつくと朝を迎えていたり(笑)。その中でも曲に一番合っている音色を選びました。

● 後半のソロは特に聴き応えがありました。
● レンジが広いので、ソロを組み立てるときにメロディーの行き来がしやすいんです。行けるところまで行けるというか(笑)。オクターブ・キィの操作には少し慣れが必要でしたけど、思っていたほど苦戦しなかったどころか、あまりにも楽しくて、あっという間に録り終わってしまいました。

初めて使ったライブでは お客さんの反応も上々でした

●  5月10日のバースデー・ライブでは、エアロフォンがステージで初披露されました。
● さっきも話したようにとにかく軽いので、ステージングの自由度が高く、普段より周りを見る余裕もあって、楽しく演奏できました。軽いって正義だなって思います(笑)。曲の途中で音色を切り替えるのも瞬時にできるし、いつの間に音を変えたの?っていう感じにできて面白かったですね。

● 他の曲がテナーやソプラノで演奏される中、エアロフォンを吹いたのは1曲だけでしたが、決して浮いてしまうこともなく自然に聴けたのが印象的でした。
● お客さんの反応もすごく良かったです。“かっこいい音だった”って。エアロフォンを初めて見る人も多かったと思うので、とても興味津々で聴いてくださいました。

● レコーディングを経て、セッティングを追い込んだりもしましたか?
● ブレス感度を7段階(L3〜L1、M、H1〜H3)で設定できるのはいいですね。私はサックスの中でも抵抗感はけっこう軽い方だと思うので、ライブではL1という設定で吹きました。もう最高でしたね。一番軽いL3も試したんですけど、すごく楽でした。さらにバイト・センサーはどのくらいで……とかやり始めると、また朝になっちゃう(笑)。

夜中でも部屋で吹けるのは 仕事をする上でも助かっています

● いろいろなシチュエーションで使ってみて、改めてエアロフォンならではの良さはどういうところにあると感じますか?
● まず、とにかく手軽に吹けて、サックスよりも身近なところ。いつもサックスを吹いてる私が言うのも変ですけど(笑)。湿度や温度の影響を受けないし、ケースから出してすぐ吹けるし、メインテナンスも簡単。ソファに座ってギターを弾くような感覚で吹けるのは、管楽器奏者にとってうれしいですよね。だから初心者でも気軽に始められるし、マニアックな人は自分でどんどん設定をカスタマイズして、ハマッていける。ターゲット層はかなり広いと思います。個人的には、サム・コントローラーを使ったベンド・アップ/ダウンが楽しくてしょうがなくて(笑)、サックスとは違うアプローチの勉強になりました。あと、夜中に部屋で吹けるのはすごくありがたいです。仕事でサックス・パートを耳コピして譜面に起こすことがよくあるんですけど、いつもだいたい夜中になってしまうので、時間を気にせず吹けるのはとても助かっています。

● サックスの練習用としてはどうでしょうか?
● 全然ありだと思います。指遣いが同じだから、エアロフォンで練習したことがすぐにサックスにも応用できます。キィの感触も、ちゃんと押した感じがあって、とてもしっくりきますね。内蔵されているサックスの音色もすごく良くて、倍音の感じとか、深みもすごくあります。サックスの音を電子楽器で再現するのは難しいって言われていて、たまにカラオケでも“あれっ?”って思うような音になっていたりしますけど、エアロフォンの音は全然そんなことありません。楽しすぎて、サックスに行かずにずっとエアロフォンを吹いていたくなりそうですけど(笑)。

もっといろんな音色を活用して 新しいアプローチに挑戦してみたい

● アルバム『Landscape』についても聞かせてください。全7曲中、米澤さんの自作曲が4曲入っていますが、曲作りはどのように?
● だいたいサックスを吹いていて作ったメロディーが先行するタイプです。だからどうしてもサックスっぽい曲になってしまって、ギタリストには負担を強いることが多いです(笑)。前作の『Amusement』はいろいろなジャンルの曲を収録しましたが、今回は“ランドスケープ=風景”というコンセプトに絞って、割と硬派な曲を集めました。前作以上に“これが私です!”というところを出せたと思うので、満足度は高いです。

● 硬派なところとキャッチーさのバランスがとても良いと思いました。エアロフォンをフィーチャーした「Ancient River」も、良いアクセントになっています。
● 次はエアロフォンから発想を膨らませて曲を作ってみるのもいいなと思っています。音色がたくさん入っているから、すごくインスピレーションが湧くと思うんです。管楽器以外にも良い音色が多くて、特にバイオリンやチェロはすごく良かったし、ジャズ・スキャットはかなり遊べました(笑)。今後はもっといろんな音色を使っていきたいです。

● もちろんライブでも?
● そうですね。9月からはツアーで東京以外にも行きますので、楽しみにしていてください!

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Profile 米澤美玖 [よねざわ・みく]テナーをメインに、時に渋く、時にアグレッシブな演奏を聴かせる女性サックス・プレイヤーとして注目される。2016年7月、ギタリスト/作編曲家の小川悦司をプロデューサーに迎えたデビュー作『Amusement』を発売。そして今年5月、同じく小川のプロデュースで2nd『Landscape』をリリースした。

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去る5月10日に渋谷JZ Brat SOUND OF TOKYOにて開催された『米澤美玖Birthday Live 〜Memorial Party』ではエアロフォンがステージでも初お披露目。小川悦司(g)、青柳誠(kb)、グレッグ・リー(b)、平山恵勇(ds)という錚々たるメンバーとともに『Landscape 』収録の「Ancient River」でエアロフォンを演奏した

米澤美玖「Glacial Winds」(2nd Album 『Landscape 』 )エアロフォン・バージョン
※「Glacial Winds」のスコアを米澤美玖公式Webで公開中

米澤美玖ジャケ

2nd Album 『Landscape 』 米澤美玖

 

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Roland Aerophone

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オープン・プライス
実勢売価78,000円(税別)

【エアロフォンの主な仕様】
●キィ配列:サクソフォン互換キィ配列 ●音源:SuperNATURAL アコースティック、PCM シンセ ●プリセット・メモリー トーン:55( Ver2.10 ) ●ユーザー・メモリー トーン:100 ●エフェクト:マルチ・エフェクト、コーラス、リバーブ ●コントローラー:ブレス・センサー、バイト・センサー、演奏キィ、オクターブ・キィ、サム・コントローラー、トーン・ボタン、メニュー・ボタン ●ディスプレイ:カスタムLCD ●接続端子:INPUT 端子(ステレオ・ミニ・タイプ)、PHONES/OUTPUT 端子(ステレオ標準タイプ)、USB COMPUTER 端子(USB MIDI 対応)、DC IN 端子 ●内蔵スピーカー:2.8cm、1.5W×2 ●電源:AC アダプター(DC5.7V)、充電式ニッケル水素電池単3 形(別売)×6 ●消費電流:418mA ●連続使用時の電池の寿命(使用状態によって変動):充電式ニッケル水素電池:7時間 ※通常使用時 ※ マンガン乾電池、アルカリ乾電池は使用不可●外形寸法:128(幅)x 93(奥行)x 574(高さ)mm ●質量:855g(電池含む) ●主な付属品:取扱説明書、AC アダプター、マウスピース・キャップ、ネック・ストラップ、専用ケース ●別売品:交換用マウスピース
※エアロフォン・エディター アプリ(iOS/Android )対応

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エアロフォン本体上ではできない、細かな音色エディットやコントロール・パラメーターのアサインがエディター上で可能になります。アプリの詳細はローランドWebを参照ください。

問い合わせ先:ローランドお客様相談センター
電話:050-3101-2555 
Web :https://www.roland.com/jp/products/aerophone_ae-10/

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