キャノンボールより、先行して発売されていたA-4のテナー版、T4シリーズが登場。一般的なラッカーとブラック・ニッケルの2種類のカラーリングがあり、今回はブラック・ニッケルのT4-Bを試奏しました。
キャノンボールの個性とも言えるビッグベルが採用されていて、ネックはスタンダード・タイプのみでファット・ネックは付属しません。
それでもビジュアルからパワフルなサウンドを予感させますが、T5のビッグベル・ストーン・シリーズよりも準宝石の数を減らしていて、ライトな吹奏感を実現。ちょうどビンテージ・リボーン・シリーズとの中間に位置するポジションのモデルとのこと。
吹奏感でいうと、確かにキャノンボールのヘビーさは影を潜め、ライトとまではいかないまでも鳴らしやすい仕上がりになっています。T5では重かったけどサウンドは好きだという方にはうってつけのモデル。
低音から高音まで吹いた分だけしっかり鳴る楽器で、非常にパワフル。楽器の持つキャパシティの広さを感じます。
音程に関してはオクターブ・キィを使った音域が若干高めになりがちですが、ツボを理解し慣れてしまえば問題ないでしょう。
キャノンボールの唯一無二なビジュアルとサウンドが好きで、ライトな吹奏感を好む方は是非お試しを。
手彫りの彫刻
管体は柔らかな音色が特徴のブラック・ニッケル・メッキ仕上げ。上位モデルT5に比べデザインを簡略化しているが、手彫り彫刻が施されている
キィ・ボタンに準宝石を採用
キィ・ボタンには美しい準宝石を採用。T5と比較して左右のサイド・キィやベルにストーンは無く、メインのラインのみに使われている
スタンダード・タイプのネック
T4はスタンダード・ネックのみ付属(T5は2タイプ付属)。準宝石を埋め込むことでまとまった音色が得られる
(撮影:田坂圭)
450,000円(税別)
(問)黒澤楽器店 管楽器卸営業部 TEL 03-5259-8193
■SPECIFICATIONS
●管体:真鍮●塗装:ブラック・ニッケル・メッキ(ラッカー仕上げのT4-L(¥430,000)もあり)●彫刻:あり(手彫り)●ネック:スタンダード・ネック(ブラック・ニッケル・メッキ)●その他の仕様:キィ・ボタン/準宝石(9個装備)、ブースター/真鍮製ニッケル・メッキ仕上げ、キィ・ポスト台座一体、ピゾーニ製高品質パット、High F♯キイ付き●付属品:マウスピース、リガチャー、ハード・ケース、キャップ、ストラップ、クロス
■試奏環境
●マウスピース:ノルベルト・メタル●リガチャー:セルマー・テナー・メタル用●リード:ダダリオ・ジャズ・セレクト2 H(ファイルド)
Cannonball Big Bell Stone Series T4-B 試奏動画
試奏者 副田整歩
クラシックとジャズの素養を併せ持つサックス奏者。アルト・サックスをメインにサックス全種とフルート、クラリネット、ピアノなどを演奏するマルチ奏者としても活動。お経とジャズのユニットNam Jazz Experiment主宰。スタジオ・ワークのほか中塚武、コトリンゴ、YUKIのサポート・ミュージシャンとしても活動している。デリカテッセンレコーディングスよりシングル「Sign」「Mind Travel」配信中。作編曲家としても高い評価を得る。